フランス政府による2019年移転価格更正実績の公表
フランス政府が公表した2019年移転価格更正所得金額は3,899百万ユーロ(約4,757億円)で、前年度と比べて17.3%増加しています。
フランス政府が公表した2019年移転価格更正所得金額は3,899百万ユーロ(約4,757億円)で、前年度と比べて17.3%増加しています。
フランスでは税務調査時の法人直接税における税目別の更正所得金額のうち、移転価格更正が約半数を占めているのが特徴です。
フランス政府の経済財務復興省が公表した2019年および過去の移転価格更正実績は下記のとおりです。
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
---|---|---|---|---|---|
更正件数 | 318件 |
412件 |
442件 |
452件 |
355件 |
更正所得金額(ユーロ) | 2,824百万 |
2,918百万 |
3,223百万 |
3,323百万 |
3,899百万 |
出典:フランス2020年財政法関連文書「租税回避及び脱税への対策」
フランスの2019年移転価格更正所得金額は3,899百万ユーロであり、日本円にすると約4,757億円となります。(フランス中央銀行の2020年のユーロ円平均レート1ユーロ122.01円で換算)ユーロベースでは前年度の3,323百万ユーロから17.3%増加しました。また上記5年間で件数および金額において全体的に顕著な増加傾向にあります。
日本の移転価格税制の執行状況と比較する場合、国税庁発表の「令和元事務年度法人税等の調査事績の概要」によると、令和元年となる2019年事務年度の移転価格更正所得金額は534億円であることから、フランスは日本の約9倍ということになります。
フランスでは移転価格調査が頻繁に行われ、大企業のみならず中小企業も対象となり、パリ等の大経済圏のみならず、地方の中小経済圏でも厳格に執行されています。
フランスに進出されている日系企業は、移転価格ポリシーのレビュー、移転価格文書化等を通じて、移転価格調査に準備・対応する事が推奨されます。