グローバルデジタルヘルス : 健康・医療データビジネス市場(米・英・豪)

本レポートでは、米国、英国、オーストラリアの3つの国における健康・医療データビジネス市場およびプレーヤーの動向の分析、考察をします。

米国、英国、オーストラリアにおける健康・医療データビジネス市場およびプレーヤーの動向 - 高まる医療データ二次活用に向けた動き

現在、日本においても、国や大学、医療機関、ライフサイエンス・ヘルスケア企業等によって、健康や医療に関わるデータを活用して健康・医療分野における研究開発・新産業創出を推進する動きが加速しています。健康や医療に関わるデータを効果的に収集、分析、活用してアンメットニーズに対する新たなソリューションを開発することは、患者のQOL改善や医療システムに大きな価値をもたらす可能性を秘めています。一方、プライバシー、信頼性、セキュリティに関する懸念や、データの収集、保存、分析といった各プロセスに新たな知見や専門性、それを補完するエコシステム形成の必要性が生じており、これらに対応するデジタルヘルスケア、スマートヘルスにおける戦略が必要です。

このレポートでは、3か国の主要な健康・医療データビジネスプレーヤーに焦点をあて、ビジネスモデル、データ種類、最近の動向を分析します。また、健康や医療に関わるデータの活用には様々な規制が関わってきます。そこで3か国の医療データに関する規制動向について示します。最後に、ビッグデータビジネスを牽引するグローバル企業である、Google、Apple、IBM、Microsoft、Amazonがとる戦略について考察します。

※本レポートでは、エグゼクティブサマリーのみを公開しています。詳細についてはお問い合わせください。
※本レポートは、KPMGインターナショナルが2020年12月に調査した内容をKPMGインターナショナルの許可を得て翻訳したものです。

ポイント

健康・医療データビジネスのプレーヤー

健康・医療データビジネスのプレーヤーは、企業の財務力(収益や患者データベースなど)と技術力(データ収集、データテクノロジー、エンドユーザーの種類など)から4つの分類に分けることができます。

  • Leaders:財政的にも技術的にも競争力のあるグループです。 Human API、Flatiron、Cernerなどを含む米国のプレーヤーの多くが市場のリーダーとなっています。
  • Niche:良好な収益を上げているものの、技術的な競争性をもつために特定の小さな市場にターゲットを絞るグループです。例えばNPS Medicineは匿名化された患者データプロバイダーに特化しています。
  • Prospects:技術優位性は有するものの、まだ十分な収益につながっていないグループです。英国のTHIN、CPRD、HRD UKなどは、このカテゴリに分類されます。
  • Laggards:財政的にも技術的にも後方から追走するグループです。

規制

3か国では、米国が健康データ市場を牽引しており、多数のプレーヤーが活動しています。これに英国とオーストラリアが続きます。各国において様々な規制があります。

  • 米国における患者データの共有に関する規制は、連邦レベルと州レベルによるものが存在します。連邦レベルの主な法律/規制としては、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996)、HITECH(Health Information Technology for Economic and Clinical Health)法、FTC(Federal Trade Commission)法、FCRA(Fair Credit Reporting)法があります。
  • 英国における患者データの共有に関する規制は、主に中央/連邦レベルが存在します。連邦レベルの主な法律/規制としては、GDPR(the General Data Protection Regulation)およびDPA(Data Protection Act)があります。
  • オーストラリアにおける患者データの共有に関する規制は、連邦レベルと州レベルによるものが存在します。連邦レベルの主な法律/規制としては、The Privacy Act 1988があります。

米国の規制環境は、英国やオーストラリアに比べて比較的厳格です。4つの連邦レベルのデータ規制に加え、米国の全50州の半数以上が独自の健康情報保護法を制定しています。同様に、オーストラリアの州の大多数が独自のデータ保護法を制定しています。また、3か国すべてにおいて、臨床研究目的での健康データの使用に関する個別の規制条項があり、EHR、遺伝情報をはじめとするデータの収集、使用、開示について定めています。

ビッグデータビジネスを牽引するグローバル企業の動き

ビッグデータビジネスを牽引するグローバル企業であるGoogle、Apple、IBM、Microsoft、Amazon各社は近年、デジタルヘルス分野のビジネスを加速させています。

- 日本における健康・医療データビジネスに向けて

日本においても、健康や医療に関わるデータを活用して健康・医療分野における研究開発・新産業創出を推進する動きが加速しています。健康や医療に関わるデータを効果的に収集、分析、活用してアンメットニーズに対する新たなソリューションを開発することは、患者のQOL改善や医療システムに大きな価値をもたらす可能性を秘めています。一方、プライバシー、信頼性、セキュリティに関する規制については、個人情報保護法、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(いわゆる次世代医療基盤法)のもと議論がされており、健康情報や医療情報等を正確に把握する仕組みであるパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の整備に向けた検討も開始されています。
企業は健康課題解決型ソリューションの提供を通じた価値創出に向けた戦略、ロードマップが必要になります。また、規制に関する議論にも積極的に参加し、リスクに向けた対応をしていくことが必要となるでしょう。

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