2019年グローバルアサインメントの方針および実務に関する調査結果について
多国籍企業における国際人材プログラムの運用実態に関する調査結果を解説します。
多国籍企業における国際人材プログラムの運用実態に関する調査結果を解説します。
Article Posted date
30 June 2020
この度2019年度「グローバルアサインメントの方針および実務に関する調査」(以下、GAPPサーベイ)を実施しましたのでお知らせします。グローバルモビリティ業界において先駆的な役割を果たしていると高評価を得ている本サーベイは、毎年、多国籍企業の国際人材プログラムがどのように運用されているか、傾向や実態などに関して有用な情報を提示するものです。
GAPPサーベイは、企業における海外赴任者の選定・評価、事前準備、自動化への取り組み、人材・業績管理、海外赴任に伴う報酬体系、アサインメントの管理や外部委託、出入国管理の実務やデータ解析の活用状況、グローバルモビリティに関するテクノロジーや税金負担に関する方針など、海外赴任プログラムを様々な角度から比較・分析することができます。
新たな市場で成長し続けるためには、適切な人材の確保は必要不可欠ですが、最近は現地で新たに優秀な人材を確保するだけでなく、在籍する経験豊富な人材を国際間異動により有効に配置し、更なる成長を図ることが顕著な傾向になっています。
2019年度GAPPサーベイのハイライトは以下の通りです。調査レポート全文はこちらからアクセスできます。
ハイライト
- 自動化への取組み:デジタル化ならびに自動化、ロボット化およびAIの利用が増加した結果、企業は最優先事項として海外赴任の派遣計画およびその開始、検討中のパッケージにかかる経費の予測や給与・手当等、情報の自動収集機能を有するプログラム・ソリューションの模索に取り組んでいます。
- データ解析:プログラムの成功を支援し、海外赴任者の勤務状況、従業員の経験および満足度を評価するための予測的要員分析について関心が高まっています。これには、海外赴任関連費用および海外赴任の件数(67%)、従業員の満足度(39%)および外注先のパフォーマンス(24%)が含まれます。
- 人材管理部門:企業は、雇用ライフサイクル全体を通して、人材管理とグローバルモビリティとの連携を強化することにより、人材の国際間異動に対してより目的に応じたアプローチを取るようになっています。グローバルモビリティプログラムを自社の人材管理の枠組みと連携させている企業の約47%が、海外赴任は自社が実施している人材開発、後任者への業務引継ぎ、および人材引留めの取組みであると回答しています。
- 方針:調査回答者の60%は、グローバルモビリティプログラムの活用は、海外事業および人材開発の目的を包括的にサポートするために最も重要な目標であると回答しています。企業の経営目的、モビリティ方針の類型、および海外赴任者の評価・選定の連携を強化させることは、人材アジェンダを支援する際に引続き重要であると考えられます。
- アプローチの柔軟性:多くの企業は、海外赴任規程において、基本規定と選択可能な規定を設定し、事業上または海外赴任者が選択肢の範囲を広げるなど、海外赴任方針につき柔軟なアプローチを提供しています。例えばメニュー形式またはポイント制のシステムや経費の一括支給を通じ、海外赴任者の経験の向上に着目して、海外赴任者が各自の個人的なニーズに最適なパッケージを作成するための選択を可能にしています。
- 海外赴任の今後の在り方:調査回答者は、今後5年間、短期間の海外赴任(長期出張(56%)、短期海外赴任(75%)、能力開発/トレーニング海外赴任(46%))を活用すると予想しています。これは、従来型の長期海外赴任(企業が本国の給与を全額支払い、タックスイコライゼーションを伴う)は減少するであろうという予想(51%)とは対照的に増加傾向を示しています。
ご不明な点がございましたら、以下のお問合せ窓口までご連絡ください。
KPMG税理士法人
Email:info-tax@jp.kpmg.com