IFRS適用企業に対するCOVID-19の影響 - 借入コストの資産化にどのような影響があるか?

IFRS適用企業における、COVID-19が借入コストの資産化に及ぼす影響の解説記事です。

IFRS適用企業における、COVID-19が借入コストの資産化に及ぼす影響の解説記事です。

論点は何か?

IAS第23号「借入コスト」のもとで、企業は適格資産(すなわち、意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を要する資産)の取得、建設又は生産に直接起因する借入コストを資産化します。[IAS 23.1, 5]

企業が適格資産の活発な開発を中断している「一定の期間(extended periods)」は、当該資産に係る借入コストの資産化も中断します。[IAS 23.20]

COVID-19コロナウイルスの感染拡大による経済的混乱は、労働に対する法的規制、または労働力や物資の不足により、プロジェクトの中断をもたらす可能性があります。

資産化に適格な借入コストには、実効金利法にもとづき計算された金利費用を反映します。したがって、借入条件の再交渉又は変更は、資産化に適格な借入コストの金額に影響を与えるかもしれません。[IAS 23.6]

COVID-19の感染拡大による建設及び開発プロジェクトの中断は、借入コストの資産化の中止をもたらすかもしれません。

詳細説明

プロジェクトの中断

IAS第23号は、活発な開発を中断している期間中のどれくらいが「一定の期間(extended periods)」となるか、具体的に定めていません。しかし、企業は通常、重要な技術的及び管理的な作業を行う期間中は、重要でないものとは対照的に、借入コストの資産化を停止しません。同様に、開発プロセスにおいて必要な一時的な遅延であるときは、資産化は停止しません。例えば、一般的な外部事象か、またはプロセスにおいて典型的な中断である場合などです。したがって、企業は借入コストの資産化を中断するべきかどうかの決定を行うため、判断をする必要があるかもしれません。[IAS 23.21, Insights into IFRS第16版 4.6.160.30]

COVID-19の感染拡大と闘う政府の行動は、多くの物理的な開発プロジェクトの一時中断を引き起こすかもしれません。例えば、プロジェクトの労働者に自宅待機の必要性があることなどが理由となります。企業はCOVID-19の感染拡大によって引き起こされた中断が、一定の期間(extended period)にわたり続くかどうかを評価する際に、予想される期間と中断の性質の両方を検討する必要があります。

企業は、下記のいずれかを満たす場合に、借入コストの資産化を継続します。

  • 中断が短期間のみである。
  • 重要な管理的又は技術的な作業を継続している。
  • 中断が一般的な外部事象によるものであるか、またはプロセスの典型的な一部分であると証明できる。
     

借入の再交渉

一定の期間(extended period)にわたり中断されていないプロジェクトにかかる資産化に適格な借入コストには、IFRS第9号「金融商品」にもとづき、実効金利法を用いて計算された金利費用が含まれます。これには特定の適格資産のために実際に行われた借入に係るコスト、及び適格資産の資金調達に使用された一般目的の借入の加重平均レートが含まれます。したがって、貸手と合意した金融負債の修正は、資産化すべき適格な借入コストの金額に影響を与える金利費用の調整につながるかもしれません。[IAS 23.6]

経営者が今すべきこと

COVID-19の感染拡大により、借入コストが資産化されている長期間の開発プロジェクトが、一定の期間(extended period)にわたり中断されているかどうかを再評価しましょう。

借入コストが引き続き資産化されている場合、これらの借入の契約条件の変更の結果、資産化すべき金額を変更すべきかを検討しましょう。
 

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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