2020年3月期決算の留意事項(税務)

本稿では、大企業の2020年3月期の税務申告や税効果会計に影響のある4項目にフォーカスし、改正のポイントについて解説します。

本稿では、大企業の2020年3月期の税務申告や税効果会計に影響のある4項目にフォーカスし、改正のポイントについて解説します。

ハイライト

2019年度税制改正では、積極的な研究開発投資を促す観点から、研究開発税制の見直しが行われました。また、地方法人課税における地域間の税源の偏在を是正する新たな措置として、法人事業税の一部を分離する形で特別法人事業税が創設されました。その他、仮想通貨の会計処理等に関する実務対応報告の公表を受けて、仮想通貨に関する取扱いの整備が行われています。国際課税の分野では、外国子会社合算税制について、ペーパー・カンパニーの範囲の見直し等が行われました。

本稿では、大企業(主に資本金1億円超の法人)の2020年3月期の税務申告や税効果会計に影響のある4項目にフォーカスし、改正のポイントについて解説するとともに、2020年度税制改正大綱において提案されている連結納税制度の見直しおよびIoT税制の1年前倒しによる廃止の内容についても言及いたします。

なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

Point1 研究開発税制
研究開発投資の多様化を図り、質の高い研究を後押しする観点から、研究開発投資の増加インセンティブを強化し、質を向上させる制度に改められた。

Point2 地方法人課税の偏在是正
地方法人課税における地域間の税源の偏在を是正するため、法人事業税の一部を分離する形で特別法人事業税が創設された。

Point3 仮想通貨の取扱いの整備
仮想通貨の会計処理等に関する実務対応報告の公表に伴い、仮想通貨に関する法人税法の規定の整備が行われた。

Point4 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)
米国の法人税率引下げによる影響を考慮した改正等が行われた。

I. 研究開発税制

1. 総額型税額控除制度

積極的な研究開発投資を促す観点から、総額型税額控除制度(試験研究費の額に税額控除率を乗じた金額を法人税額から控除する制度)について、税額控除割合カーブの見直しなどが行われました。研究開発税制は青色申告法人に広く適用できる制度ですが、本稿では、大企業(中小企業者以外)に適用される制度について解説します。

「中小企業者」とは、以下の(1)又は(2)の法人をいいます。
(1)期末資本金の額が1億円以下の法人
ただし、以下の法人を除く。

  • 発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人※1に所有されている法人
  • 発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人に所有されている法人

(2)資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

なお、本制度においては、2019年4月1日以後に開始する事業年度について、適用除外事業者(過去3年間の平均所得が15億円を超える法人)が「中小企業者」の範囲から除かれます。

※1「大規模法人」とは、以下の法人をいいます。

  • 期末資本金の額が1億円を超える法人
  • 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
  • 大法人(資本金の額が5億円以上である法人等)の100%子法人
  • 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人


大企業については、2019年4月1日以後に開始する各事業年度において、以下の税額控除の適用を受けることができます。

(1)原則

増減試験研究費割合 税額控除率※2 税額控除の上限額
8%超の場合 9.9%+(増減試験研究費割合-8%)×0.3
(上限:2年間※3は14%、それ以降は10%)
法人税額×25%
(研究開発を行う一定のベンチャー企業※4:40%)
8%以下の場合 9.9%-(8%-増減試験研究費割合)×0.175
(下限:6%)


※2 設立事業年度又は比較試験研究費が零の場合には、8.5%
※3 2019年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する事業年度
※4 設立後10年以内の法人のうち、適用年度終了の時において翌期繰越欠損金額を有するもの(大法人の子会社等は除かれる)

(2)試験研究費割合が10%を超える場合の特例

2019年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する事業年度においては、以下の2つの特例を適用できることとされています。

税額控除率(上限:14%) 税額控除率(原則)+税額控除率(原則)×控除割増率
税額控除の上限額 税額控除の上限額(原則)+法人税額×{(試験研究費割合-10%)×2}
(上限:法人税額×10%)

用語の意義

  • 増減試験研究費割合:(1)/(2)
    (1)当期の試験研究費-比較試験研究費(マイナスの場合、そのマイナスの額)
    (2)比較試験研究費
  • 比較試験研究費:当期前3年以内に開始した各事業年度の試験研究費の平均値
  • 試験研究費割合:当期の試験研究費/平均売上金額
  • 平均売上金額:当期及び当期前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均値
  • 控除割増率:(試験研究費割合-10%)×0.5(上限:10%)

2. 特別試験研究費に係る税額控除制度

(1)特別試験研究費の範囲

研究開発の質を向上させる観点から、特別試験研究費に係る税額控除制度(特別試験研究費の額に税額控除率を乗じた金額を法人税額から控除する制度)の対象となる特別試験研究費の範囲について、2019年4月1日以後に開始する事業年度から下線部分の費用が追加されます。

特別試験研究費の範囲
(以下の試験研究に係る試験研究費の額)
税額
控除率
共同試験研究 特別研究機関等 30%
大学等
研究開発型ベンチャー企業※5 25%
民間企業等 20%
技術研究組合
委託試験研究 特別研究機関等 30%
大学等
研究開発型ベンチャー企業※5※6 25%
特定中小企業者等 20%
一定の民間企業等※6
知的財産権の使用料 特定中小企業者等
希少疾病用医薬品等に関する試験研究
特定用途医薬品等に関する試験研究


※5 「研究開発型ベンチャー企業」とは、産業競争力強化法の新事業開拓事業者で、その発行する株式の全部又は一部が同法の認定ベンチャーファンドの組合財産であり、一定の要件を満たすものその他これに準ずるものをいう。

※6 以下の要件を満たす企業間の委託研究が該当する。

  • 受託者の委託に基づき行う業務がその受託者において試験研究に該当するものであること。
  • 次のいずれかを満たすこと。
    (1)委託して行う試験研究が委託法人の基礎研究又は応用研究であること(工業化研究に該当しないものであること)。
    (2)委託して行う試験研究が受託者の知的財産権等を利用するものであること。
  • 委託に係る委任契約等において、その委託に係る試験研究が委託法人の工業化研究に該当しない旨又は受託者の知的財産権等を利用するものである旨その他一定の事項が定められていること。

(2)税額控除の上限
2019年4月1日以後に開始する事業年度から、特別試験研究費の税額控除の上限が法人税額の10%(改正前は5%)とされます。


参考情報
2018年度税制改正において措置された租税特別措置の適用制限規定により、上記の研究開発税制については、2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度において、以下の要件のいずれも満たさない場合には適用できないこととされています。

(a) 当期の継続雇用者への給与等支給額 > 前期の継続雇用者への給与等支給額
(b) 国内設備投資額 > 当期償却費総額×10%※7
  • 「当期の継続雇用者への給与等支給額」及び「前期の継続雇用者への給与等支給額」が零の場合には、要件(a)を満たすものとされる。
  • 法人が(a)(b)いずれかの要件を満たし研究開発税制の適用を受ける場合には、確定申告書等にその要件のいずれかに該当することを明らかにする書類を添付する必要がある。

※7 2020年1月31日に閣議決定された「所得税法等の一部を改正する法律案」において、「10%」の割合は「30%」に引き上げられることが提案されている。


用語の意義

  • 給与等支給額:国内雇用者に対する給与等支給額で、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの(給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)
  • 国内雇用者:法人の使用人(役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く)のうち、その法人の国内の事業所に勤務する雇用者として、労働基準法に規定する賃金台帳に記載された者
  • 継続雇用者:以下のいずれにも該当する国内雇用者
    (1)前期及び当期の全期間の各月において給与等の支給を受けている。
    (2)雇用保険の継続雇用制度の対象ではない一般被保険者である。
  • 国内設備投資額:法人が当期に取得等をした国内資産でその当期末において有するものの取得価額の合計額
  • 国内資産:国内事業の用に供する棚卸資産、有価証券、繰延資産以外の資産のうち、(1)建物及び建物附属設備、(2)構築物、(3)機械装置、(4)船舶、(5)航空機、(6)車両運搬具、(7)工具及び器具備品、(8)一定の無形固定資産、(9)一定の生物(時の経過によりその価値の減少しないものを除く)
    (減価償却資産と異なり、「事業の用に供していないもの」は除かれていないため、当期末において事業の用に供されていない場合であっても、その後国内において事業の用に供されることが見込まれる資産は「国内資産」に該当することになる)
  • 当期償却費総額:法人がその有する減価償却資産につき当期においてその償却費として損金経理をした金額(前期の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む)

II. 地方法人課税の偏在是正

1. 特別法人事業税の創設

地域間の税源偏在の是正に対応するため、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置として、2008年より法人事業税(所得割・収入割)の一部が分離され地方法人特別税(国税)として徴収されていましたが、この地方法人特別税は、消費税率の10%への引上げに伴い2019年10月1日以後に開始する事業年度から廃止され、法人事業税に復元されます。
一方、近年の経済社会構造の変化により地域間の税源の偏在は拡大傾向にあり、こうした状況に対応するため、新たな偏在是正のための恒久措置として、2019年10月1日以後に開始する事業年度から法人事業税(所得割・収入割)の一部を分離して国税である特別法人事業税を創設し、国から地方へ配分することとされました。なお、特別法人事業税の課税標準や申告納付の方法は、これまでの地方法人特別税と同様です。
2019年10月1日以後に開始する事業年度に適用される法人事業税(所得割)及び特別法人事業税の税率(標準税率・東京都の税率)は、次のとおりです。

税目 課税標準 資本金1億円超の普通法人 資本金1億円以下の普通法人等
標準税率 東京都の税率 標準税率 東京都の税率
法人事業税
(所得割)
所得 年400万円以下 0.4% 0.495% 3.5% 3.75%
年400万円超800万円以下 0.7% 0.835% 5.3% 5.665%
年800万円超 1% 1.18% 7% 7.48%
特別法人事業税 標準税率により計算した所得割額 260% 260% 37% 37%
  • 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものについては、年間所得800万円以下の所得に係る法人事業税(所得割)の軽減税率の適用はない。
  • 資本金1億円以下の普通法人等の東京都の法人事業税(所得割)の税率は、不均一課税適用法人以外の法人に対する税率を示している。

特別法人事業税の創設の目的は地域間の税源配分を調整することであるため、法人納税者の税負担及び法人実効税率に及ぼす影響はほとんどありません。なお、法人実効税率(標準税率・東京都の税率)は、以下のとおりです。

  資本金1億円超の普通法人 資本金1億円以下の普通法人等
標準税率 東京都の税率 標準税率 東京都の税率
2018/4/1~2019/9/30の間に開始する事業年度 29.74% 30.62% 33.59% 34.59%
2019/10/1以後に開始する事業年度 29.74% 30.62% 33.58% 34.59%
  • 法人事業税・地方法人特別税・特別法人事業税が損金算入されることを考慮し、所得800万円超に対する税率(東京都の税率については、不均一課税適用法人以外の法人の税率)を用いて計算している。

2. 地方法人税の税率引上げ

2019年10月1日以後に開始する事業年度から、地方法人税の税率が4.4%から10.3%に引き上げられます。この引上げは地域間の税源偏在の是正に対応するために2016年度税制改正において措置されたもので、法人住民税(法人税割)の税率が5.9%引き下げられるとともに、その引下げと同率分の地方法人税の税率が引き上げられます。
この改正に伴う法人納税者の税負担及び法人実効税率に及ぼす影響はほとんどありませんが、たとえば、日本に恒久的施設を有しない外国法人などの地方税が課されない法人については、地方法人税の税率引上げ分だけ税負担が増えることになりますので、留意が必要です。

III. 仮想通貨の取扱いの整備

2018年3月14日に企業会計基準委員会より実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」(以下「実務対応報告第38号」という)が公表されたことを受けて、法人税法において、仮想通貨に関する取扱いが整備されました。
実務対応報告第38号は、原則として2018年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用されますが、改正後の法人税の規定は、原則として2019年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。


参考情報

  • 「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することを盛り込んだ「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が2019年5月31日に成立し、同年6月7日に公布された。この法律は公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている(執筆時点(2020年1月31日)では未施行であるため、以下「仮想通貨」という)。
  • 下記の改正を踏まえ、国税庁は2019年12月20日、2018年11月21日に公表された「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の改訂版をウェブサイトにおいて公表している。

1. 譲渡損益の計上

法人が仮想通貨を譲渡した場合の譲渡損益の計上については、以下のように取扱われることとなります。

譲渡損益の計上時期 譲渡に係る契約をした日の属する事業年度
譲渡原価(一単位当たりの帳簿価額)の算出方法

以下のいずれかの方法

  • 移動平均法による原価法(法定算出方法)
  • 総平均法による原価法
みなし譲渡

自己の計算において有する仮想通貨が以下のいずれにも該当する場合には、事業年度終了の時に、一定の方法により計算した金額によりその仮想通貨を譲渡し、かつ、その金額によりその仮想通貨を取得したものとみなして、譲渡損益・取得価額を計算する。

  • その事業年度の期間内のいずれかの時において活発な市場がある
  • その事業年度終了の時において活発な市場がない


活発な市場が存在する仮想通貨

活発な市場が存在する仮想通貨とは、以下のすべてに該当するものをいいます。
(1)継続的に売買価格等の公表がされ、かつ、その売買価格等がその仮想通貨の売買の価格・交換の比率の決定に重要な影響を与えているものであること。
(2)継続的に売買価格等の公表がされるために十分な数量及び頻度で取引が行われていること。
(3)以下のいずれかに該当すること。

  • 売買価格等の公表がその法人以外の者によりされていること。
  • (2)の取引が主としてその法人により自己の計算において行われた取引でないこと。


経過措置

2019年4月1日以後最初に終了する事業年度(改正事業年度)前の事業年度において仮想通貨の譲渡に係る契約をし、かつ、改正事業年度以後の事業年度においてその引渡しをする場合には、仮想通貨の引渡しの日の属する事業年度において譲渡損益を計上することが認められます。ただし、改正事業年度前の事業年度においてその譲渡に係る契約をし、かつ、その契約をした日の属する事業年度においてその譲渡損益を計上した場合は除かれます。

2. 期末評価

法人が事業年度終了の時において、活発な市場が存在する仮想通貨を自己の計算において有する場合には、時価評価により評価損益を計上(翌事業年度に洗替え)することとなります。


経過措置

2019年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度(経過事業年度)終了の時に有する仮想通貨について、経過事業年度の確定した決算において評価損益を収益又は損失として経理していない場合には、評価損益を計上しないことが認められます。

3. 仮想通貨信用取引

法人が行った仮想通貨信用取引(仮想通貨交換業者から信用の供与を受けて行う仮想通貨の売買)のうち、事業年度終了の時において未決済のものがある場合には、その時において決済したものとみなして算出したみなし決済損益を計上(翌事業年度に洗替え)することとなります。


経過措置

経過事業年度終了の時において未決済である仮想通貨信用取引について、経過事業年度の確定した決算においてみなし決済損益を収益又は損失として経理していない場合には、みなし決済損益を計上しないことが認められます。

IV. 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)は、2017年度及び2018年度税制改正において、制度全体にわたる改正が行われましたが、2019年度税制改正では、米国の法人税率引下げによる影響を考慮した以下の改正等が行われました。

1. ペーパー・カンパニーの範囲の見直し

ペーパー・カンパニー(その租税負担割合が30%未満である場合には、会社単位の合算課税の対象となる外国関係会社)の範囲が見直され、以下の外国関係会社は、一定の要件のもと、ペーパー・カンパニーに該当しないこととされました。

  • 持株会社である一定の外国関係会社(外国子会社又は特定子会社の株式等を保有する外国関係会社)
  • 不動産保有に係る一定の外国関係会社(不動産会社である管理支配会社の事業に必要な不動産又は管理支配会社が自ら使用する不動産を保有する外国関係会社)
  • 資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社

この改正は、内国法人の2019年4月1日以後に終了する事業年度の合算課税(外国関係会社の2018年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限ります)について適用されます。


参考情報

国税庁は、この改正に関して以下の情報を公表しています。

  • 「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について(法令解釈通達)」(2019年5月31日付)
  • 「令和元年5月31日付課法2 - 6ほか2課共同『租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について』(法令解釈通達)の趣旨説明」(2019年12月20日公表)
  • 「外国子会社合算税制に関するQ&A(平成29年度改正関係等)(情報)」(2019年6月20日改訂版)

2. 外国関係会社が連結納税規定・パススルー課税規定を適用している場合の特例

外国関係会社が連結納税規定やパススルー課税規定を適用している場合における外国関係会社の租税負担割合及び適用対象金額並びに内国法人における外国税額控除の規定に係る取扱いが整備されました。
具体的には、これらの規定における所得金額や法人所得税(外国法人税)は、外国関係会社の本店所在地国等の法人所得税(外国法人税)に関する法令の規定のうち企業集団等所得課税規定※8を適用しないものとして計算することとされました。
この改正は、内国法人の2019年4月1日以後に終了する事業年度の合算課税(外国関係会社の2018年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限ります)に係る計算等について適用されます。

※8 企業集団等所得課税規定とは、(1)本店所在地国における連結納税規定、(2)第三国における連結納税規定(たとえば、バミューダに所在する外国関係会社が米国税法上、米国法人として取り扱われたうえで、米国の連結納税規定の適用を受けるケース)及び(3)パススルー課税規定をいう。


参考情報

国税庁は、この改正に関し、前述1の参考情報に記載した一部改正通達等のほか、以下の情報を公表しています。

  • 「連結納税規定等が適用される外国関係会社の適用対象金額等の計算方法等の改正に関するQ&A(情報)」(2019年7月1日版)

V. 2020年度税制改正項目

2020年度税制改正で提案されている項目のうち、2019年3月期決算における税効果会計に影響を及ぼす可能性がある項目として、たとえば以下の改正が挙げられます。

1. 連結納税制度の見直し(グループ通算制度への移行)

2020年度税制改正では、事務負担の軽減を図るための簡素化及びグループ経営の多様化に対応した中立性・公平性の確保の観点から、連結納税制度を抜本的に見直し、グループ通算制度へ移行することが提案されています。
この見直し案のポイントは以下のとおりです。

  • グループ通算制度は、完全支配関係のある企業グループ内で損益通算及び欠損金の通算を可能としながら、その企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が法人税額の計算及び申告を行う制度である(グループ通算制度の適用法人に修正・更正が行われる場合には、原則として通算グループ内の他の法人の税額計算に反映させない(遮断する)ための措置が講じられる)。
  • グループ通算制度の適用開始時・通算グループへの加入時における時価評価課税及び欠損金の持込み等の取扱いは、組織再編税制と整合性のとれた制度とされる。連結納税制度より時価評価課税や欠損金の切捨ての対象が縮小することが見込まれる一方で、連結納税制度のもとでは時価評価課税は不要とされ、連結納税開始前の欠損金の持込み等については何ら制限を受けなかった親法人にも、時価評価課税、欠損金の切捨て又は欠損金や資産の含み損等の利用制限が生じる場合がある。
  • 親法人の連結納税開始前の欠損金は、その開始後においては連結欠損金として連結グループ内で控除することが可能であったが、グループ通算制度では、親法人のグループ通算制度の適用開始前の欠損金は、子法人と同様、特定欠損金として自己の所得の範囲内でのみ控除することとされる。
  • グループ通算制度は2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるが、経過措置により、グループ通算制度の施行前に連結納税制度を適用している連結法人は、所定の手続を行うことにより単体納税法人に戻ることが可能とされる。
  • グループ通算制度の施行前から連結納税制度を適用している連結法人がグループ通算制度に移行する場合には、経過措置により、連結納税制度における特定連結欠損金個別帰属額はグループ通算制度における特定欠損金とみなされる(連結欠損金(連結親法人の連結納税開始前の欠損金を含む)は、グループ通算制度において特定欠損金以外の欠損金として通算グループ内で控除可能)。

(なお、本稿の執筆時点(2020年1月31日)において、企業会計基準委員会は連結納税制度の見直しへの対応を検討しており、改正法人税法の成立日において連結納税制度を適用している企業を対象として、必要な会計基準が公表され原則的な取扱いの適用が可能となる時点まで、改正前の税法の規定に基づいて税効果会計の適用を行うことができることとする特例的な取扱いの選択適用を認めること等を審議しています。)

2. コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)

2020年度税制改正では、2018年度税制改正により創設されたコネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制、租税特別措置法第42条の12の6)の適用期限の1年前倒し(2020年3月31日で廃止)が提案されています。
なお、この改正案を受け、経済産業省は「コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)」の特集ページにおいて、制度の廃止に関するお知らせ及びQ&Aを公表しています。
これらの情報には、適用期限の1年前倒しに係る経過措置(2020年3月31日までに税制措置の適用の前提となる計画について認定を受けた法人等が一定の設備を2021年3月31日までに取得・供用した場合には、従前どおり、本税制の適用を受けることができることとする措置)のほか、すでに認定を受けている場合には今回の改正の影響は受けないこと及びすでに認定を受けている案件と2020年3月31日までに認定を受ける案件とで取扱いに異なる点は設けられないこと等、2020年度税制改正大綱には明記されていない取扱いが示されています。

執筆者

KPMG税理士法人
タックステクニカルセンター
パートナー 大島 秀平
マネジャー 風間 綾
マネジャー 山崎 沙織

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