予想信用損失開示の整合性確保に向けて(IFRS)
大手銀行に対し、投資家のニーズを満たすために予想信用損失開示の拡充を推奨
大手銀行に対し、投資家のニーズを満たすために予想信用損失開示の拡充を推奨
KPMG InternationalのメンバーファームであるIFRGは、「Consistency in disclosure of expected credit losses」を公表しました。
英国における予想信用損失開示タスクフォース(DECLタスクフォース)は、2019年12月に報告書の第2弾を公表しました。この第2弾においては、第1弾の報告書で示されていた推奨事項の一部が改訂されるとともに、開示例が追加されています。
従前の推奨事項の改訂
DECLタスクフォースは、2018年11月に報告書の第1弾を公表しました。当該報告書は、英国の大手銀行が年次報告書において予想信用損失(ECL)開示をするに当たっての原則及び推奨事項が記載されています。また、この報告書は以下の項目を含む9つの個別領域をカバーしていました。
- 将来予測情報
- ステージ間の移動及びカバレッジ(信用リスク・エクスポージャーに対するECLの割合)
- ECLの調整表
- 測定に当たっての不確実性、将来の経済状況及び重要な判断と見積り
2019年12月に公表された報告書第2弾は最初の報告書と同じく9つの領域をカバーしていますが、「測定に当たっての不確実性、将来の経済状況及び重要な判断と見積り」の開示についてより詳細な記載がなされる等、推奨事項への改訂が行われています。
開示例
今回報告書には、推奨事項を適用する際に役立つ開示例も記載されています。開示例を通じて、推奨される開示を年次報告書でどのように表示するかが説明されています。
世界的に及ぼす影響
この推奨事項は、IFRS第9号「金融商品」及びIFRS第7号「金融商品:開示」に記載されている現行の要求事項を拡充または追加するもので、アナリストや投資家が銀行の年次報告書において望ましいと考える開示を反映することを目的としています。
この報告書で掲げている推奨事項は英国の大手銀行に対するものですが、英国の他の銀行及び他国の銀行にとってもベストプラクティスとなることが予想されます。
報告書の詳細については、「Recommendations on a comprehensive set of IFRS9 ECL disclosures」をご覧ください。