AI コンプライアンスをコントロールする - ファイナンシャルサービス 規制上の課題

本稿では、規制当局の高い期待が向けられている領域における推進のドライバーと、企業が取り得るアクションを概説します。

本稿では、規制当局の高い期待が向けられている領域における推進のドライバーと、企業が取り得るアクションを概説します。

AIシステムおよびアドバンスト・アナリティクスに関する規制およびコンプライアンス上の課題

AIは、フィンテック・ソリューション、新興テクノロジーなどの一分野ですが、フィンテック関連には規制当局や監督当局が具体的な対策を講じる一方で、AIには次の記す規制上の課題があります。
 

  • 不揃いな規制

データの重要性が高まるにつれ、さまざまな活動主体が設立されています。しかし公共政策は、新たなテクノロジーの開発と展開への対応に遅れをとっています。今後制定される規定や監督は、企業戦略やビジネスモデルに影響を及ぼす可能性があります。
 

  • リスクガバナンス・コントロール

規制および監督当局は、新しいテクノロジーが中核的リスクガバナンスの能力に対して、どのように影響するか注目しています。
 

  • データ・プライバシー

企業は個人情報を厳重に管理したい顧客たちに、オプトインとオプトアウトの手続きや収集データの範囲、アクセス方法、使用状況などの再考を求められています。AIについては、データ・プライバシーとデータ・セキュリティの意識の高まりによって、データ使用の制限や機械学習への影響が懸念されています。
 

  • コンプライアンス・プロセス

AIと自動化は、コンプライアンス上の課題にデジタル変革をもたらすかもしれません。しかし、不透明性のある一部のAIツールは、規制当局や消費者に対し、AIの結果説明が困難なことで、コンプライアンス・リスクを増大させる可能性があります。
 

  • 信用管理

信用スコアリングモデルは業界と規制当局の注目を集めました。規制を受ける多くの金融機関は、サード・パーティ依存リスク、市場集中リスク、類似/同一データソースへの依存リスクが増大しています。
 

  • サイバーセキュリティ

AI技術は、サイバーセキュリティ・アナリティクスなしに見付けられなかった弱点を浮かび上がらせます。一方で、サード・パーティ・テクノロジーへの過度の依存や市場およびシステムの相互接続性の高まり、AIにより市場機能を操作しようとするサイバー脅威/サイバー犯罪などを通じて、新たなサイバー・リスクをもたらすことがあります。
 

  • 倫理とコンダクト

AIシステムに、組織の倫理・価値観を組み込むのは困難です。しか監督当局は、企業が従業員、サード・パーティ、提携先/関連企業による不正行為のリスクを管理することを期待しています。また、不正行為がもたらし得る非金融リスクへの意識も高まっています。
 

  • 消費者保護

消費者にとって金融サービスと市場がより公平になる、それが消費者金融保護の最大の目的です。AIはこの目的に対し、信用スコアリングモデルを通じて、金融商品やサービスへのアクセスを拡大するなど、さまざまな方法で貢献していくでしょう。
 

  • 金融犯罪

デジタル・トランスフォーメーションは、金融犯罪関連のコンプライアンスにおける取組みの変革を求めています。規制当局による精査はサード・パーティへの依存を高め、オペレーションと事業部門横断的なリスク管理とコントロールはコスト圧力となります。
 

  • 資本および流動性

AIは巨大な非構造データセットを解析できますが、企業は時間とともにAIシステムの訓練に使用したデータと判断が、継続して質の高いものであるという保証や説明が難しくなるかもしれません。

AIをコントロールするためのフレームワーク

AIテクノロジーの潜在的価値への期待は大きいですが、一部にはそのリスクを管理、コントロールする人間の能力に疑念を感じ、恐れを表明する人々もいます。AIの新たなリスクには、新たなコントロール方法が必要です。

AI in Control

KPMGのAI in Controlは、企業がAIシステムの実装と関連するリスクを、プロアクティブに検討する支援のために開発された「リスクおよびコントロール」のフレームワークです。AIソリューションのフレームワークは、4分野のリスク管理とコントロールを対象としています。

  • エンタープライズ・マネジメント
  • プロジェクト・マネジメント
  • ソリューション/データ・マネジメント
  • テクノロジー・マネジメント

次の4つのAIソリューションの構築を、支援するように設計されています。

  • インテグリティ
  • 説明可能性
  • バイアスのないこと
  • 迅速さと確かさ

KPMG調査 発見事項の抜粋

自動化を追求する上位4つの理由

  1. よりよいリスク管理
  2. 質の向上
  3. 新商品や新サービスのための、よりよい格段に迅速なサポート
  4. コンプライアンス・プロセスからの軋轢や現状の問題点からの解放

KPMG調査の結論

  • 企業は、インテリジェント・オートメーション(IA)の潜在的価値を認識し期待している。
  • AIテクノロジーへの移行は進まず、ソフトウェア・ロボットの配備は初期段階であり、準備不足である。

#RegTech

お問合せ