RPAの機動的な導入を可能にする3つのフェーズと取組み
「同僚はデジタルレイバー」第18回 - 一般的なシステム導入プロジェクトとは異なる、RPAの機動的な導入方法について解説する。
一般的なシステム導入プロジェクトとは異なる、RPAの機動的な導入方法について解説する。
定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入は、いかに柔軟かつ機動的にプロジェクトを推進できるかが肝となる。一般的なシステム導入プロジェクトと同様の進め方ではRPA活用のメリットであるスピード感・柔軟性を損なうことになるため、留意が必要である。RPA導入は、(1)診断・検証(2)導入(3)変革の3つのフェーズに大別される。各フェーズを以下にあげる活動で推進することが望ましい。
診断・検証フェーズでは、自社におけるRPAに適合する技術的検証および効果検証を目的として、2~3の業務を対象にパイロット導入を行う。結果や検証を踏まえて自社の環境に最も適合するRPAソフトウエアを選定する。さらに、RPA適用可能領域を診断するために、概要レベルでの業務アセスメントを企業全体または部門全体などの広い範囲で実施し、適用対象業務の抽出及び優先順位付けを行う。投資対効果算出、実行計画を策定し、導入フェーズの準備をする。
導入フェーズでは、導入対象業務の業務設計を行い、開発・テスト・移行・運用を実施する。現状業務を単純にRPAに置き換えるケースもあるが、業務ルールの整備や徹底等の前処理や業務改善なども行う。また、このフェーズでは、管理・保守運用に向けた管理体制・内部統制の設計と導入に併せて、業務移行のコミュニケーションや社内におけるRPA人材の育成も行う。一般的なシステムにおける管理・運用体制とは異なり、スピード感・柔軟性を損なわないルール作りが必要となる。
変革フェーズではRPAのさらなる活用のほか、業務改革の観点で新たな課題の解決や効果創出機会を明確にする。創出された時間を活用しいかに付加価値をつけていくかという、企業や部門のあるべき姿や存在意義を再定義し、将来の業務運営のあり方を、業務・人・組織・IT(情報技術)・評価指標・場所などの観点から構築する。
大きな改革効果を得るうえでの要諦として、効果を早急に刈り取るための活動を行う。業務改革の視点から部門・企業レベルで取り組み、初期の段階から付加価値創出のあり方を考慮することが重要である。
RPA導入の3つのフェーズと取組み
日経産業新聞 2017年4月25日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。