RPA導入の際の注意点~部署間連携~

「同僚はデジタルレイバー」第15回 - RPAの導入にあたって、従業員が過度な期待や悲観などの誤った認識を抱かぬよう、経営層のナビゲーションについて解説する。

RPAの導入にあたって、従業員が過度な期待や悲観などの誤った認識を抱かぬよう、経営層のナビゲーションについて解説する。

デジタルレイバーの1つの形態であり定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、業務システムや統合基幹業務システム(ERP)と比べると容易に導入することができる。だが一方で、容易であるがゆえに、RPAの落とし穴につまずく可能性があることに注意が必要だ。

RPAを導入する際には、以下の3つの点に留意することが重要である。
1つめが、「技術的実現性の事前評価」である。システム環境等の技術的観点での事前検証をパイロットフェーズで実施し、実現性の高い投資対効果(ROI)を踏まえた意思決定が必要である。
例えば、バーチャル環境や汎用系システム等にアクセスできないRPAソフトウエアもある。このようなIT環境で行われる業務では、事前検証を通じて機能を評価し、適用可能な業務範囲を見極める必要がある。

2つめは、「IT(情報技術)部門との連携」だ。RPAは既存のIT基盤やセキュリティーポリシーと整合しない場合もあるため、IT基盤への影響や既存セキュリティーポリシーにおけるリスク評価、さらには必要に応じてセキュリティー手順の変更等を検討する必要がある。また、既存ITシステムの仕様変更やIT基盤の設定変更等はRPAの動作に影響する。このため、IT部門主管の変更計画を確認しながら、導入時期や運用保守のサイクル等を決める必要がある。

3つめは、過度な期待の抑制や仕事が奪われるのではないかという不安などに対応する「チェンジナビゲーション」だ。「すべての業務が自動化されるのではないか」「自分の仕事が奪われるのではないか」「そんなこと自動化できるわけがない」 - 。RPAの導入にあたって従業員が抱く誤った認識によって、企業内では様々な期待や思惑が発生する。従業員のモチベーションが下がらないように経営層から適切なメッセージを発信することで、過度な期待や悲観を解消し、RPAを導入する効果を十分に創出するための環境を整えることも必要とされる。

また、先行導入する部門の責任者は導入・展開状況を適宜自社内の他部門と共有することも重要だ。RPAの導入による部門のサイロ化やノウハウが各部門に分散されることは避けるべきである。自社内のITシステムにおける障壁やRPA導入のノウハウやナレッジを蓄積することが大事である。

RPA導入時の留意点

  1. 技術的実現可能性の事前評価
  2. IT部門との連携
  3. チェンジナビゲーション(過度な期待の抑制、仕事が奪われるのではないかという不安への対応など)

日経産業新聞 2017年4月20日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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