効果発揮できる人材育成を実現する3つの施策
「同僚はデジタルレイバー」第10回 - デジタルレイバー時代に、自社の人材育成を効果的なものにするための施策について考察する。
デジタルレイバー時代に、自社の人材育成を効果的なものにするための施策について考察する。
デジタルレイバー時代においては、業務を「実行」する能力ではなく、「理解・分析・設計」する能力が重要となる。このような人材が、業務上のニーズや課題を的確に把握し、素早くかつ最大限にデジタルレイバーの効果を発揮し、業務の改善、改革を実現させることができる。
社内だけでこのような人材を十分に確保することは通常困難であるため、外部の専門業者を一時的に活用し社内リソースの不足を補うことが避けられない。しかし外部リソースに頼り続けることは継続的なキャッシュアウトやデジタルレイバーのブラックボックス化、管理の空洞化にもつながるため、中長期的には自社内の人材育成は必須である。自社人材の効果的な成長を実現させるためには、以下の3つの施策が必要になる。
まず第一に「既存人材の適性を見える化」することである。社内へのデジタルレイバー導入、展開に必要な役割と求められる人材像を具体的に定義する。従業員の情報(スキル、経歴、過去の評価)を求められる人材像と照らし合わせ、潜在力のある従業員を識別した上で、必要な育成施策を実施していく。
2つめが、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の小規模導入によって従業員が実践できる場を設ける育成環境の整備だ。知見のある外部リソースを活用し、自社人材にRPA導入のPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを経験させることで、より早く実用レベルのナレッジやノウハウを習得することができる。
3つめが透明性のあるコミュニケーションと充実したトレーニングだ。従業員からの信頼を得るためにも、RPA導入の狙いや従業員への期待、デジタルレイバー時代にふさわしいキャリアパスを経営層自らが継続的に伝えていくことが重要である。キャリア構築に必要なトレーニングを計画、準備、実施することで従業員の着実な成長につなげることができる。
自社人材の効果的な育成
既存人材の適性を見える化 | 求められる人材像に基づく既存人材の評価、潜在力の識別 |
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育成環境の整備 | RPAの早期かつ小規模導入によるナレッジ、ノウハウの蓄積 |
コミュニケーション、トレーニング | 従業員への期待の発信、トレーニングによるキャリア構築の支援 |
日経産業新聞 2017年4月13日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。