代替されない人材に~デジタルレイバー時代に求められるキャリアの向上~

「同僚はデジタルレイバー」第13回 - デジタルレイバー時代に対応するために必要な人材と、不足している人材について解説する。

デジタルレイバー時代に対応するために必要な人材と、不足している人材について解説する。

デジタルレイバーの活用の本質は、単なる自動化・コスト削減だけではなく、企業や部門のあるべき姿・存在意義や業務オペレーション自体を再検討し、現行業務やビジネスの範囲を拡大していくためのものである。そのためには仕事の種類も変化していく。

経済産業省の「新産業構造ビジョン」に示されたように、現状放置では多くの業界・企業で、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や人工知能(AI)に仕事が代替され、低賃金化が進む。それを防ぎ「目指す姿」に近づくためには人材が変わっていく必要がある。必要な人材は(1)新ビジネスストラテジスト(2)次世代テクノロジスト(3)業務デザイナー(4)共感スペシャリスト(5)ロングテール専門家 - の5つに分類できる。

新ビジネスストラテジストは、RPAやAI技術を踏まえ、より高度で広域な問題を大局的にとらえて新ビジネスを創出するための洞察・意思決定する人材である。次世代テクノロジストは、RPAやAI技術を駆使して新しいソフトウエアを生み出し、システム開発・データ分析を行う。
業務デザイナーは、RPAやAIを理解した上で業務を設計し、管理・監視する。デジタルレイバーと共に働くためにビジネスをデザインし、自らもRPAやAIを活用して業務を遂行する。一方、共感スペシャリストは独創性や共感力にたけ、人間性・コミュニケーションなどのソフトスキルを武器とする人材であり、RPAやAIには提供できない価値を提供する。
5つめのロングテール専門家は、いわばニッチな世界で費用対効果の観点から自動化できない業務の専門性を追い続ける役目を担う。市場は小さいが、その第一人者となる人材だ。

企業戦略によって必要な人材は異なる。デジタルレイバー時代に対応するため、自社に必要な人材とその中で足りない人材を定義して、社内リソースの適性を可視化することが大切である。いわゆるタレントマネジメントである。そのうえでトレーニングや採用を行い、人材面でのスキル開発を進めていく。一方で、従業員自身の意識改革も必要になる。どのように自身のキャリアの向上を図るかを考えて行動することが求められる。

目指す姿に必要な人材

目指す姿に必要な人材

日経産業新聞 2017年4月18日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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