RPAが解決する日本企業の課題とは
「同僚はデジタルレイバー」第21回 - 働き方改革の推進にも有効となるRPA。加速度的に活用が進むことが予想されるRPAの特徴を、日本企業の課題と合わせて解説する。
働き方改革の推進にも有効となるRPA。加速度的に活用が進むことが予想されるRPAの特徴を、日本企業の課題と合わせて解説する。
日本では定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)はまだ導入が始まった段階だ。だが、RPAの持つ特徴は日本企業が直面する課題と適合しているため、今後、加速度的に活用が進むことが予想される。少子高齢化の進展に伴う人材不足で、採用費用は上昇傾向にある。経営者からの人件費削減要求は強く、企業は容易に人を増やすことが難しい状況にある。だが、定型業務をRPAに置き換えることで不足する人材を補うことができる。
働き方改革の推進にもRPAは有効だ。政府主導の働き方改革では労働時間の是正が取り上げられることが多く、生産性の向上で利益を上げる仕組みが必要である。RPAの活用でスピードの向上や業務量の削減が見込めるため、経験が少ない人材の専門性を高め品質向上に寄与できる。
一方で、業務改善に対する疲弊や標準化への抵抗という課題もある。日本企業は業務改善活動に積極的に取り組んでおり、すでに「乾いた雑巾」状態で従来の手法での効率化は限界にきている。また、統合基幹業務システム(ERP)などの導入で業務の標準化が求められているが、現場では独自業務にこだわりがあることも多く、標準化できていない部分も多く見られる。RPAは標準化されていない業務をそのまま自動化しても効率化できるが、標準化された業務への導入の方がより効果が得られる。
人工知能(AI)やあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」などのデジタル技術がメディアに取り上げられない日はない。これらの技術を使った新しい取組みへの機運が多くの企業で高まっており、デジタル化の流れは著しい。RPAはデジタル技術の活用で目に見える効果が創出できるため、企業に受け入れられやすい。
まずはシェアードサービスセンターや事務処理センターなどの大量事務処理の効率化が対象になると想定される。これらは企画・営業などのフロント業務、法務・税務等の専門業務、管理業務の高度化にも寄与するため、適用範囲は拡大していく。KPMGでは、より高度で深度のあるサービスの提供を目指しRPAの導入プロジェクトが進められている。専門職においても十分に適用できる環境になってきている証左とも言えるだろう。
RPAの特徴は日本企業が抱える課題との適合性が高い
日経産業新聞 2017年4月28日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。