ブロックチェーン活用によるデジタルコンテンツの著作権保護
ブロックチェーン活用によるデジタルコンテンツの著作権保護
「ブロックチェーン活用術」第6回 - ブロックチェーンの特徴を応用した、デジタルコンテンツの著作権保護について解説する。
デジタルコンテンツの著作権状況
デジタル技術の進歩やインターネットなどの通信インフラの整備・高速化が進み、撮影したばかりの映像を全世界ですぐ視聴することも可能になった。便利になる一方で、映像や音楽、漫画などのデジタルデータは容易にコピー、拡散されてしまい、著作権の侵害による被害が深刻化している。
業界団体のコンテンツ海外流通促進機構の推計では、ある違法サイトだけで年間約1億6000万人がアクセスし、その人数に1作品当たりの小売り相当金額をかけた約3000億円の損害が発生しているとしている。抜本的な不正対策は急務といえる。そのデジタルコンテンツの著作権保護の切り札として、ブロックチェーンが大きな注目を集めている。
ブロックチェーンの特徴を応用
どう著作権保護に応用するのか。「取引履歴の追跡が容易」や「改ざんが困難」といったブロックチェーンの特徴を使うのである。具体的には、デジタルコンテンツの売買・貸与などの取引履歴をすべてブロックチェーンに記録しておく。そうしておけば、インターネット上にその履歴に合致しない不正なコピーが流れたり、不正な利用があったりした場合、過去の購入者や利用者などを追跡でき、どこで不正が起きたかなどを特定しやすくなる。
保護だけではない。著作権の配分も公平かつ効率的にできるようになる。具体的には、契約内容をブロックチェーンで管理・履行する「スマートコントラクト」を活用する。著作権ごとに企業・団体・個人など複数の利害関係者が存在するが、相互に経理的なシステムが連携をしていないため、著作権料の配分業務は現在、多くの部分を人の作業に依存している。ブロックチェーンを使うことで、一定の条件のもとで自動的に配分できるようになる。
実際、欧米では音楽やデジタルアートの分野において、ブロックチェーンを応用したサービスが既に始まっている。ミュージシャンと消費者を直接つなぎ、音楽ストリーミングとデジタル決済を行うサービスもその1つだ。
インターネットが成長した理由の1つに情報の即時性と無料利用が挙げられるが、不正に伴う弊害も大きくなりつつあるといえる。新たなコンテンツの創造にはそのビジネスに携わる個人や企業、団体に適正に正当な利益を還元することが欠かせない。そのインフラとしてブロックチェーンに大きな期待がかかっている。
ブロックチェーンを使った著作権管理システムの特徴
日経産業新聞 2018年11月8日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。
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