自動化レベルは3段階 - 定型業務から非定型業務、そして高度な自立化へと進むRPA
「同僚はデジタルレイバー」第6回 - 自動化のレベル別に3段階に分け、RPAの領域について解説する。
自動化のレベル別に3段階に分け、RPAの領域について解説する。
デジタルレイバーの1つの形態であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)には、自動化のレベルに応じ、3つの段階に分けて考えられる。日本市場においても、昨年からRPAを導入している企業の大半が実感していることであるが、定型業務の自動化領域(第1段階)はかなり効果が出ており実用化が進んでいる。一方、非定型業務の自動化領域(第2段階)はまだ実証段階であり、今後は様々な業務でのユースケースが増えることが想定される。
その第1段階目に当たるのが、「既存技術を統合活用した定型業務の自動化」である。例えば、「ルールエンジン」「画面認識」「ワークフロー」などの既存技術を統合して活用し、情報取得(クローリング)や入力・突合作業、複数システムのログインといった作業の自動化が可能である。RPAに実際に人が画面を操作するのと同様の作業を記憶させることが可能になり、この取組み実現のために既存IT(情報技術)システムの変更や新たなインターフェースの開発は必要なく、比較的少ない投資での導入が可能である。例外対応などは人が行わなければならないものの、現在最も実用化が進む領域となっている。
第2段階目は「一部の学習機能および非構造化情報処理による非定型業務の自動化」である。ディープラーニングや自然言語処理を用いて、非構造化データの読み取りや蓄積情報からのルール作成などを行うというものである。導入事例として、金融機関などにおけるコールセンターやチャットボットが豊富にあるが、質疑応答以外のユースケースを増やすことが実用化への鍵である。主な製品として「IBM Watson」や「Google TensorFlow」などが存在するが、いずれも導入のために辞書データの準備や蓄積情報の学習にかかる投資が必要なため、容易に導入することが難しいという課題がある。
そして最終段階が「高度な自律化」である。この段階ではプロセスの分析や改善、意思決定に至るまでが自動化される。第3段階目に該当する製品やサービス自体がまだ存在していないが、ポテンシャルを感じるものは出てきており、開発が進むことを期待する。
デジタルレイバー・RPAの3段階
日経産業新聞 2017年4月6日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。
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