業務改善してから自動化で成功 - RPA導入事例:大手製造業B社での人事業務

「同僚はデジタルレイバー」第8回 - 人事業務領域におけるRPAの活用について、事例を挙げて紹介する。

人事業務領域におけるRPAの活用について、事例を挙げて紹介する。

デジタルレイバーの1つの形態であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の適用可能な対象業務とその効果を、大手製造業B社での人事業務の事例をもとに紹介する。人事業務領域では一般的に、人事管理(勤怠・休暇、超過労働時間チェックなど)や報酬・福利厚生領域(給与支給、年末調整など)に定型業務が多く、自動化対象になりやすい。

B社では、パイロット検証の対象として36(サブロク)協定の超過労働時間チェック業務の自動化を実施した。例えば同業務には、(1)超過労働を行っている対象者リストを基幹システムからダウンロードし命名ルールに従い適切なフォルダを作成し、リストを保管(2)超過協定書とリストを1つずつ目視で対象者を確認し、リマインド対象者の抽出を実施(3)リマインド対象者のメールアドレスをその都度選択しメールで通知─という3つの工程があり、人が業務を実施していた。

RPAの特徴の1つは、人が実施している反復定型作業をまねし代行することで、人が実施する工程を削減できることである。また、継続的かつ安定的な業務の実施が可能であるため、作業の高品質化の実現も可能である。前述の3つの工程は定型業務が大半を占めるため、(1)スクリーンスクレイピング技術を用いて基幹システムへのログインと対象者リストを命名ルールに従いフォルダを作成し、リストを保管(2)超過協定書と対象者リストを自動突合し、リマインド対象者を自動識別(3)リマインド対象者に自動でメール通知─という具合に自動化できた。

既存の業務のやり方をそのまま自動化することも可能であるが、本パイロット検証では少し業務のやり方を改善した。入社や転職時または異動時に、超過協定書から既提出者リストを事前に整備しておき、人の目視で対象者を識別していた工程をRPAでも対応可能なやり方に改善している。その結果、36協定の超過労働時間チェック業務に費やしていた時間を約95%短縮し、事務ミスの削減も実現できた。

超過労働時間チェック・報告業務のRPA化

超過労働時間チェック・報告業務のRPA化

日経産業新聞 2017年4月11日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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