マレーシア 2017年予算案 税制改正ハイライト
マレーシアニューズレター - ナジブ首相は、2017年予算案を2016年10月21日付で議会に提出しました。
ナジブ首相は、2017年予算案を2016年10月21日付で議会に提出しました。
ハイライト
2017年予算案において、下記を含む税制改正の提案が同時になされております。
- 法人所得税 - 課税所得増加割合に応じた法人所得税率の引下げ
- 個人所得税 - 所得控除の見直し
- 各種税制優遇
主要な税制改正についてはPDFファイルをご参照ください。
法人税
課税所得増加割合に応じた法人所得税率の引下げ
直前賦課年度と比較し、課税所得が増加する割合に応じて、当該増加部分に対する法人所得税率(現行24%)の引下げが提案されている。
直前賦課年度と比較した場合の課税所得の増加部分に対する法人所得税率の引下げ幅は以下の通りである。
直前賦課年度に対する 課税所得増加率(%) |
法人所得税率の 引下げ幅 |
適用後 法人所得税率(%) |
---|---|---|
5.00未満 | 0 | 24 |
5.00 - 9.99 | 1 | 23 |
10.00 - 14.99 | 2 | 22 |
15.00 - 19.99 | 3 | 21 |
20.00以上 | 4 | 20 |
当該提案は賦課年度2017及び賦課年度2018を対象としている。
芸術、文化、遺産に関する活動に対する税額控除拡大
マレーシアの芸術、文化、遺産に対する活動を促進するため、そのような活動のスポンサーとなる法人が税額控除可能な限度額が各賦課年度においてRM 500,000からRM 700,000に拡大し、また、国外の活動に対してはRM 300,000を限度とすることが提案されている。
当該提案は賦課年度2017から適用される。
小規模会社(SMEs)に対する法人所得税率の引下げ
現行、小規模会社(SMEs: Small and Medium Enterprise)の課税所得のうち、RM 500,000までの金額には19%が、RM 500,000を超える金額には24%が法人所得税率として適用されている。
小規模会社とは、法人税法上、以下のように規定されている。
- 払込資本金がRM 2,500,000以下かつ、払込資本金がRM 2,500,000超の会社に支配されていない法人等
- 出資額がRM 2,500,000以下の有限責任事業組合(LLP)
現在の厳しい経済環境における小規模会社の競争力を促進するため、RM 500,000までの課税所得に対する法人所得税率を18%に下げる提案がなされている。
当該提案は賦課年度2017から適用される。
税制優遇
インターンシッププログラム(SIP)に対する二重控除期間及び範囲の拡大
現行、マレーシア居住法人には、マレーシアの学生に対するTalent Corporation Malaysia Berhadから承認された特定のインターンシッププログラム(SIP)に要した適格費用の二重控除が認められている。
より多くの法人がSIPに参加することを促進するため、以下の内容が提案されている。
i. 優遇措置が3年間延長される
ii. SIPの範囲がフルタイムの職業訓練コース(マレーシア・スキル証明レベル3)に拡大される
現行、二重控除は以下の費用に関して認められている。
i. RM 500以上の月給
ii. 学生に対するトレーニング費用
iii. インターンシップ期間中の学生の食費、旅費、宿泊費用
iv. SIP実施のために第三者に支払った費用
当該提案は賦課年度2017から賦課年度2019まで適用される。
個人所得税
ライフスタイル所得控除
現行、コンピューター及びインターネットの利用を高める、健康的なライフスタイルを促進する、並びに読書習慣を定着させることを目的として、居住者には以下の所得控除が付与されている。
i. RM1,000を上限とした書物(新聞および禁止書物を除く)の購入に対する所得控除
ii. RM300を上限としたSports Development Act 1997で定義されたスポーツ活動のためのスポーツ用品購入に対する所得控除
iii. RM3,000を上限としたコンピューターの購入(3年に1回まで)に対する所得控除
RM 500を上限としたブロードバンドインターネットの使用料に対する所得控除は賦課年度2010から2012まで付与されていた。
上記の所得控除について納税者がフレキシブルな適用を可能にすることを目的として、既存の所得控除を纏め、賦課年度ごとにRM2,500を上限としたライフスタイル所得控除とする提案がなされている。
さらに、ライフスタイル所得控除の対象として以下の項目が追加される。
i. 紙媒体の日刊新聞の購入
ii. スマートフォンまたはタブレット端末の購入
iii. インターネット使用料
iv. ジム会員料
当該提案は、賦課年度2017から適用される。
間接税
GST取扱いの見直し
Free Commercial Zone("FCZ”)とFree Industrial Zone("FIZ”)のGSTにおける取扱いの差異等を解消するための見直しが提案されており、また、Warehousing SchemeにおけるGSTの取扱いについても見直しが提案されている。
当該提案は2017年1月1日から適用される。
その他
印紙税率の引上げ
現行、不動産移転にかかる契約書について、以下の税率で印紙税が課税されている。
価格 | 税率 |
---|---|
RM100,000以下 | 1% |
RM100,000超 RM500,000以下 | 2% |
RM500,000超 | 3% |
不動産移転にかかる印紙税率について、RM1,000,000超の価格帯について税率を3%から4%に引上げる提案が2018年1月1日から適用される。
その他のBudget Highlights
税制優遇
- 新規の4つ星、5つ星ホテルへの投資に対するパイオニアステータス及びInvestment Tax Allowance期間の2018年12月31日までの延長
- イスラム銀行業及びタカフル事業に係る法人税、印紙税免税期間の延長
- Halal Industry Playersに対する税制優遇に係る対象ハラル製品の追加
個人所得税
- 幼稚園及び保育園に要する費用に対する所得控除
- 授乳器具の購入に対する所得控除
間接税
- 障害器具の購入に対するGST控除