IFRS - Insurance Newsletter - Issue 55 残りの論点への取組み
IFRS - 保険ニュースレターでは、IASBが保険契約プロジェクトについて2016年6月に実施した会議の結果を取り上げます。
IFRS - 保険ニュースレターでは、IASBが保険契約プロジェクトについて2016年6月に実施した会議の結果を取り上げます。
ハイライト
「IASBは新たな保険契約に関する基準書を微修正し、原則主義に基づき保険金融費用を当期純利益に配分する案を策定している」
2016年6月の会議において、IASBは、新たな保険契約に関する基準書の投票プロセスにおいて生じた種々の論点について審議した。
集約のレベル - 契約上のサービス・マージンの事後測定
IASBは、契約上のサービス・マージン(CSM)の解放の目的を明確にした。すなわち、報告日現在のCSMは、契約のグループについて提供される将来のサービスに対する利益を表していることとした。その契約のグループは契約が不利である時点を判定する際に使用するグループと同じであり、CSMの解放は報告期間の末日現在グループ内に残存する契約の予想されるデュレーション及び規模を反映して行われることになる。
また、IASBスタッフは、新規契約が(既存のグループに追加される日において)既存のグループと類似の特性を有している場合には、企業はその新規契約を当該既存のグループに追加できることを明確にした。
保険金融収益または費用
IASBは、保険金融収益または費用を当期純利益とその他の包括利益(OCI)に分解している場合において、保険金融収益または費用を原価測定ベースで当期純利益に表示することの目的を削除することで合意した。またIASBは、このような状況において、契約の存続期間にわたる予想保険金融収益または費用合計の「規則的な配分」額を当期純利益に表示しなければならないことを明記することで合意した。さらに、IASBは、その規則的な配分の算定方法を定めたガイダンスを提供し、リスク調整の変動を金融要素と保険引受要素に分解する必要がないことを明記することで合意した。
その他の論点
IASBは、どのような履行キャッシュフローの変動が将来のサービスに関連しており、CSMの調整を伴うのか、どのような変動が現在及び過去のサービスに関連しており、CSMの調整を伴わないのかを定めたガイダンスを提供することで合意した。また、IASBは、変動手数料アプローチは出再保険契約にも受再保険契約にも適用してはならないとすることで合意した。
次のステップ
IASBは、引き続き新たな保険契約に関する基準書の投票プロセスを進め、2016年第3四半期に適用日について審議することを見込んでいる。最終基準書は、2016年の末頃に公表されることが見込まれる。
集約のレベル
CSMの事後測定
“IASBは、CSMの測定の目的及び契約の分類に関する条件を明確にした。”
論点
2014年6月、IASBは、新たな保険契約に関する基準書の目的は、個別保険契約の測定に関する原則を提供することにあると明示した※1。2016年6月、IASBは、その原則によって異なる結果が生じ得ることを示す例について検討した。
この例は、各報告期間におけるCSMの変動の結果である各報告期間の末日現在のCSMの合計が、CSMの計算単位が個別契約レベルかグループ・レベルかによって異なる可能性があることを示している※2。
IASBスタッフの提案
IASBスタッフは、このような差異は意図せざるものであるという意見を表明した。IASBスタッフは、予想されるデュレーションに基づきCSMを解放することの目的は、契約のグループを計算単位とすることによって達成されるという結論を示した。したがって、IASBスタッフは、CSMの測定はグループ・レベルで行わなければならないことをIASBが明確にすることを提案した。この提案は、2016年1月に行われた不利な契約を分類するレベルについての決定と整合的である※3。
またIASBスタッフは、ドラフトの作成において、2016年1月の会議で使われた収益性という記述に関する問題に対処することを提案した。その提案によると、「収益性」とは予想収益合計(実務上は簡便的な方法として、類似する予想保険料を代替的に利用することも可)に対するCSMの割合をいう。
さらに、IASBスタッフは、IASBへの提案を行わずに、企業は当初認識時に契約を既存のグループに追加できることを明示することによって、多くの市場関係者からの質問に対応した。企業は、新規契約が(既存のグループに追加される日において)既存のグループと類似の特性を有している場合には、その新規契約を当該既存のグループに追加することができる。
IASBの議論
大半のIASBメンバーは、CSMを配分する目的上、個別契約レベルで保険契約を測定するという目的を削除することを支持した。しかし、一部のメンバーは、契約の分類の要件を規定することに難色を示し、その要件はより原則主義的なものとすべきである(すなわち、その要件には類似の主要な仮定及び予想される収益性を求める規定を含めるべきではない)と考えた。
一部のメンバーは、「類似の収益性」という用語の意味について懸念を示し(すなわち、この用語は実務上解釈が難しい可能性がある)、その意味をより明確にする必要があると提案した。しかし、1名のIASBメンバーは、この用語は意図的に使用されているものであり、その評価及び評価の頻度については経営者の判断が必要であることを示唆した。
IASBの決定
IASBは、次の決定を行った。
明確にすべき論点 | IASBの決定 |
---|---|
CSMの調整及び解放の目的 | 報告日現在のCSMは、契約のグループについて提供される将来のサービスに対する利益を表していることを明確にする。 |
CSMの測定の際に使用する契約のグループ | CSMの測定の際に使用する契約のグループは、契約が不利である時点を判定する際に使用するグループと同じものとすることを明確にする。 したがって、企業は、以下の特性を有する保険契約毎に分類することによって、当初認識時にCSMを測定する。
実務上の便法として、予想保険料に対する収益率の評価(すなわち、予想保険料に対するCSMの割合)を利用することもできる。 |
契約のグループのCSMを当期純利益に配分する方法 | 契約のグループのCSMを当期純利益に配分する際には、報告期間の末日現在そのグループ内に残存する契約の予想デュレーション及び規模を反映するよう企業に要求する。 |
※1 詳細な情報については、KPMGの刊行物「IFRS Newsletter: Insurance - Issue 41」を参照。
※2 検討された例示については、「IASBスタッフ・ペーパー2A」(2016年6月)を参照。
※3 詳細な情報については、KPMGの刊行物「IFRS Newsletter: Insurance - Issue 51」を参照。
KPMGの所見
CSMは、契約の予想デュレーション及び規模に基づき解放することになる。失効することが予想される契約について残存するCSMは、存続することが予想される契約に吸収されることになる。したがって、このCSMを解放する方法は、期限付きの年金の処理と概念的に同じであるが、グループ・レベルで適用される。
企業は、CSMの解放をグループ・レベルで行うための能力を判定しなければならなくなる。例えば、現行の大部分の保険数理システム及びデータベースは、契約の分類に永続的に対応する能力を有していない。
主要な仮定の変更が新規契約のキャッシュフローに及ぼす影響と、既存のグループのキャッシュフローに及ぼす影響が同様である可能性は低いため、新規契約を既存のグループに追加する際に企業は困難に直面する可能性がある。そのために、企業は、別個の契約のグループを多数抱えることになり、それぞれのグループを評価しモニタリングするのにさらに手間とコストが増える可能性がある。
企業は、基準書の適用プロセスにおいて、契約の分類のレベルについて早期に意思決定を行うことが重要となる。
保険金融収益または費用
表示及び開示
“IASBは、保険金融収益を当期純利益に表示するための原価測定の目的を削除することで合意した。”
論点
2015年9月、IASBは以下の事項について合意した。
- 金融変数の仮定の変更から生じる保険契約の測定の変動を当期純利益とOCIに分解する(すなわち、保険金融収益または費用※4を原価測定ベースを用いて当期純利益に表示する)目的
- 保険金融収益または費用を原価測定ベースを用いて算定するための詳細な方法を規定しないこと
- 原価測定ベース(すなわち、保険金融収益または費用を契約の存続期間にわたって規則的に配分すること)の定義※5
2016年6月、IASBは、これらの規定について明確化及び変更が必要か否かを以下の事項を含め審議した。
- 「原価測定ベース」という用語を使用する必要があるか否か
- 「規則的な配分」という用語の意味についてガイダンスを提供すべきか否か
- 開示規定の改訂が必要か否か
また、IASBは、リスク調整を金融要素と保険引受要素に分解すべきか否かも審議した。
IASBスタッフの提案※6
「原価測定ベース」という用語の使用
IASBスタッフは、新たな保険契約に関する基準書に関し、以下のとおり提案した。
- 保険金融収益または費用を当期純利益とOCIに分解する目的が、保険金融収益または費用を原価測定ベースで当期純利益に表示する点にあることを明記しない。
- 保険金融収益または費用は、予想保険金融収益または費用の合計を契約の存続期間にわたって規則的に配分する方法で、当期純利益に表示しなければならないことを明記する。
IASBスタッフは、過去に規則的な配分を示すために提供した設例の一部では、実効金利に近似していない保証利回りが使用されていることを指摘した。
「規則的な配分」という用語に関するガイダンス
IASBスタッフは、規則的な配分とは何か、金融変数の仮定が保険契約者に対する支払金額に実質的な影響を「及ぼす」保険契約の場合及び実質的な影響を「及ぼさない」保険契約の場合に規則的な配分をどのように算定すべきかを定めたガイダンスを提案した。
IASBスタッフは、当期純利益に認識する保険金融収益または費用は、見積キャッシュフローを帳簿価額に等しい現在価値に割り引く単一の実効金利またはイールド・カーブを基礎として算定できることを指摘した。
開示
IASBスタッフは、保険金融収益または費用の分析を求める開示規定は、すべての有配当契約に関連しているとは限らないため、削除することを提案した。この規定を残した場合、一部のケースに適用できても、すべてのケースには適用できない可能性がある。
IASBスタッフは、投資家が純損益及びその他の包括利益計算書上の正味の金融収益または費用の源泉を理解するのに十分な情報を、投資家に提供するための具体的な方針を含めることを予定している※7。
リスク調整の表示
IASBスタッフは、リスク調整の変動を金融要素と保険引受要素に分解する要求を行わないことを提案した。
なぜなら、IASBスタッフは、割引率の変動がリスク調整に及ぼす影響を識別するよう要求することは、リスク調整を測定するのに利用可能な方法が複数あることを考慮すると、実務上不可能であると考えたからである。
IASBの議論
IASBメンバーからの質問に答えて、IASBスタッフは、リスク調整を分解する要求を行わないという提案は、基本的に会計方針の選択であることを明らかにした。このことは、保険契約に関する基準書の最終版の開示規定の一部として含められる予定である。
2名のIASBメンバーは、IASBスタッフの提案に含まれている規則的な配分の算定に関する例示は限定的とすること(すなわち、保険者は算定方法のうちの1つを選択しなければならないようにすること)を提案した。
IASBの決定
「原価測定ベース」という用語の使用
新たな保険契約に関する基準書には、以下を明記する(明記しない)こととする。
- 保険金融収益または費用を当期純利益とOCIに分解する目的が、保険金融収益または費用を原価測定ベースで当期純利益に表示する点にあることを明記しない。
- 保険金融収益または費用は、予想保険金融収益または費用の合計を契約の存続期間にわたって規則的に配分する方法で、当期純利益に表示しなければならないことを明記する。
「規則的な配分」という用語に関するガイダンス
- 新たな保険契約に関する基準書では、規則的な配分について以下のようなガイダンスを提供する。
- 契約のキャッシュフローに影響を及ぼさない要因を参照することなく、契約の特性を基礎として行う※8。
- 契約の終了時にOCI累計額がゼロとなるように行う。
- 金融変数の仮定の変更が保険契約者に対する支払金額に実質的な影響を「及ぼさない」保険契約の場合、規則的な配分は、契約の当初認識時に適用される割引率を用いて算定する。
- 金融変数の仮定の変更が保険契約者に対する支払金額に実質的な影響を「及ぼす」保険契約の場合、規則的な配分は、以下のうちのいずれか1つの方法で算定することができる。
- 定率法
- 保証利回りを使用して保険契約者に支払うべき金額を算定する契約の場合、当期に保険契約者に付与する保証額及び将来の期間に付与する見込みの保証額に基づく配分
開示
新たな保険契約に関する基準書では、以下のとおりとする。
- 保険金融収益または費用合計の具体的な内訳を開示するよう要求する規定※9を削除する。
- 以下の開示を行うことによって、報告期間における保険金融収益または費用の合計額を説明するよう企業に要求する。
- 保険金融収益または費用と企業が保有する関連資産の投資リターンとの関係(純損益及びその他の包括利益計算書上に認識された正味の金融収益または費用の源泉を理解するのに十分な情報を投資家に提供するため)
- 企業が純損益計算書上に表示している保険金融収益または費用の計算に使用している方法
リスク調整の表示
企業は、リスク調整の変動を金融要素と保険引受要素とに分解する必要はない。企業がリスク調整をこれらの要素に分解しない場合には、その変動を保険引受実績の一部として表示する。
企業は、これらの2つの選択肢のうちのいずれを適用しているかを開示しなければならない。
※4 この用語は、過去にIASBが用いていた「保険投資収益または費用」に代わる用語である。この用語は、「IASBスタッフ・ペーパー2C」(2016年6月)でスタッフが「時の経過によって生じる貨幣の時間価値の影響の変動及び金融変数の仮定の変更の影響」と定義している。
※5 詳細な情報については、KPMGの刊行物「IFRS Newsletter: Insurance - Issue 48」を参照。
※6 これらの提案は、経済的ミスマッチがあった場合にのみ保険金融収益または費用の変動の影響をOCIに表示することに対する提案である。
※7 この方針には、企業が見込んでいる投資マージン及び保険契約負債と比べた場合に企業が保有する資産の内容及びデュレーションの重要な差異について検討すべきであるという期待が含まれることになる。
※8 例えば、資産からの期待運用収益の認識によって履行キャッシュフローが影響を受けない場合には、予想金融収益または費用の配分上、その運用収益を考慮しない。
※9 2014年3月、IASBは、すべての保険契約ポートフォリオについて、企業は包括利益合計に含まれる利息費用について少なくとも次の項目に分解した分析を開示することを決定していた。その項目とは、現在の割引率を用いて算定された利息費用、当期中の割引率の変動による保険契約の測定額への影響、及び当期にCSMを調整する、将来キャッシュフローの見積りの変動の現在価値を、保険契約の当初認識時の割引率及び現在の割引率を用いて算定した場合の差である。
その他の論点
CSMの調整
“IASBは、どのような履行キャッシュフローの変動がCSMの調整を伴うものかを定めたガイダンスを提供することで合意した。”
論点
2013年の保険契約に関する公開草案(本ED)のガイダンスでは、基準書の首尾一貫した適用を可能にするために、一般的なモデルにおいて、将来のサービスに関連する履行キャッシュフローの変動に対してCSMをどのように調整すべきかを定めた一般的なアプローチは規定されていなかった。
IASBスタッフの提案
IASBスタッフは、保険契約に関する基準書では、どのような履行キャッシュフローの変動が将来のサービスに関連しており(すなわち、CSMを調整する変動であり)、どのような変動が現在及び過去のサービスに関連している(すなわち、CSMを調整しない変動である)かを定めたガイダンスを提供することを提案した。
IASBの議論
1名のIASBメンバーは、このIASBスタッフの提案によって、当期に発生した事象が純損益及びその他の包括利益計算書に表示されずに、CSMで過度に調整される可能性があることを懸念して、この提案を支持しなかった。
IASBの決定
IASBは、基準書にガイダンスを追加して、CSMの調整が実績調整または金融変数の仮定の変更による将来キャッシュフローの現在価値の変動によって行われないことを明確にすることで合意した。
また、原則として企業は、実績調整を現在または過去のサービスに関連するものとみなし、将来キャッシュフローの見積りの変更を将来のサービスに関連するものとみなすことになる。ただし、これが当てはまらない状況には以下のものがある。
- 以下のような残存カバーに係る負債の変動
- 将来のサービスに関連して当期に支払われた保険料から生じる実績調整。これらの調整は、将来のサービスに関連するものである。
- 将来キャッシュフローの見積りの変更をもたらすような実績調整を生じさせる事象の影響。これらの合算した影響は、将来のサービスに関連するものとみなされる。例えば、投資要素の払戻しの遅延または早期化の正味の影響によって、CSMは調整されることになる。
- 発生保険金の見積りの変更。これは現在または過去のサービスに関連するものである
KPMGの所見
スタッフ・ペーパーには、将来キャッシュフローの見積りの変更をもたらすような実績調整を生じさせる事象の例が記載されている。改訂された記載のうち、この部分については、将来のサービスに関連する変動と現在または過去のサービスに関連する変動とを区別する目的の例外とみなされる可能性がある。
その目的は、実績調整と将来の見積りの変更を合算してはならないことを示唆している。しかし、IASBスタッフは、その目的が示唆する方法では、ある利得または損失が当期に認識されている一方でそれに伴う利得または損失を将来においても認識することが必要になるような場合の単一の事象を忠実に表現していないと主張した。
したがって、将来のサービスに影響を及ぼす正味の影響は、現在の影響と併せて考慮しなければならない。
再保険契約及び変動手数料アプローチの適用範囲
“IASBは、変動手数料アプローチを出再保険契約にも受再保険契約にも適用しないことで合意した。”
論点
2015年6月、IASBは、変動手数料アプローチの適用範囲に含まれる契約の範囲を明確にした※10。一部の出再保険契約及び受再保険契約は、現行の草案に記載されている当該要件を満たす可能性がある。
変動手数料アプローチは、保険契約者が保険料を支払い、その支払った保険料を上回るほどの保険カバー及び投資リターンを受け取ることを見込んでいるような状況に対処するために開発されたものである。
対照的に、出再保険契約においては、以下のような状況がある。
- 出再者は保険料を支払っているものの、一般的にその支払った保険料を上回るほどの払戻しを受けることを見込んでいない。すなわち、受再保険者は出再者に引受に係るリターンを提供せず、自らが手数料としてその一定の持分を保持する。
- 再保険者が稼得する利益は投資管理サービスを提供することに対する手数料ではなく、再保険カバーを提供することにより稼得するものである。
IASBスタッフの提案
IASBスタッフは、IASBは出再保険契約及び受再保険契約を変動手数料アプローチの適用範囲に含めることを意図していないと考えた。IASBスタッフは、変動手数料アプローチの適用要件を修正してこのような契約を除外することを提案した。
IASBの決定
IASBは変動手数料アプローチを出再保険契約にも受再保険契約にも適用しないことを決定した。
※10 詳細な情報については、KPMGの刊行物「IFRS Newsletter: Insurance - Issue 46」を参照。
KPMGの所見
一部の市場関係者は、IASBに受再保険契約に係るCSMの取扱いを元受保険契約に係るCSMの取扱いと整合的にすることを提案した。しかし、IASBスタッフは、再保険契約は元受保険契約とは経済的実態が異なることを理由に、この提案に同意しなかった。
別表:IASBの再審議の要約
コメント募集した論点、有配当契約、移行、その他の論点、IFRS第9号と新たな保険契約に関する基準書との適用日の相違についての詳細は、PDFを参照。
マイルストーンと今後のスケジュール
2007年5月、IASBはディスカッション・ペーパー「保険契約に関する予備的見解」を公表した。また、2013年6月に公開草案「保険契約」(ED/2013/7。以下、「公開草案」という)を発行し、保険契約の改訂案を再公開してコメントを求めた。
2014年1月から、IASBは公開草案を通して挙げられた問題点について再審議を行っている。
その他の基準書との関係
IASBはその再審議過程において、保険契約の会計が他の既存または将来の基準と整合しているかについても検討しており、その中には新しい収益認識に係る基準書(IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」※12)が含まれている。
IASBは、IFRS第9号※13が保険者の投資の大部分をカバーすることから、IFRS第9号と新たな保険契約に関する基準書がどのように関係するかも検討した。2015年12月、IFRS第9号と新たな保険契約に関する基準書との適用日の相違がもたらす結果の一部に対処するため、IASBは公開草案「IFRS第9号『金融商品』とIFRS第4号『保険契約』の適用」(ED/2015/11)を公表した。最終改訂版は、2016年9月に公表される見通しである。
この公開草案に関する詳しい情報及び分析は、(KPMGの刊行物「New on the Horizon」及び「SlideShare presentation」並びにIASBの改訂案についての再審議を含む)Insurance topic pageを参照のこと。
※12 IFRS最終基準書の詳細 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」及び「IFRS最新提案の解説:公開草案「IFRS第15号の明確化」」を参照。
※13 IFRS最終基準書の初見分析 IFRS第9号「金融商品」を参照。