統合報告(Integrated Reporting)
統合報告は、経営者が、企業の戦略や業績、方向性やそのための施策等について、これまでの事業報告の枠組み(財務/非財務、制度化されているか否か等)にとらわれない包括的な視座から、説明を行おうとする取り組みです。
統合報告は、経営者が、企業の戦略や業績、方向性やそのための施策等について、これまでの事業報告の枠組み(財務/非財務、制度化されているか否か等)にとらわれない包括的な視座から ...
現時点では、南アフリカにおいて、ヨハネスブルグ証券取引所が、上場企業に対し、2011年2月末より統合報告の作成と提出を要請していますが、未だ、多くの国々で統合報告は制度化されていません。一方で、中長期的に企業活動とその価値創造を支援するための、また、限りある経営資源を適切に活用した持続的な社会の実現に向けた、新たなコミュニケーションのありようを模索する議論の推進は、時代の要請といえます。国際的な取組みの一つとして、国際統合報告委員会(the International Integrated Reporting Committee: IIRC)が、2011年9月12日に統合報告(Integrated Reporting)に関するディスカッションペーパーを発行し、統合報告の定義、統合報告が求められる背景、統合報告の枠組(International Integrated Reporting Framework)における指導原則や構成要素について提案を行っています。統合報告の定義について、IIRCは、ディスカッションペーパーの中で、以下のように提案しています。
「統合報告は、組織の戦略、ガバナンス、パフォーマンス及び見通しに関する重要な情報を、組織が置かれている商業的、社会的、環境的なコンテキストを反映する形で報告するものである。統合報告は、組織がどのように管理責任(stewardship)を遂行し、どのようにして価値を創出し、持続しているかについて明瞭で完結に報告を行うものである。」
今後、統合報告が制度化されるか否かに関わらず、既にイギリス、オーストラリアをはじめとする各国では、特に中長期な視野を有する投資家の支持を獲得するために、企業の戦略やビジネスモデル、経営状況など、統合報告が提起しているような開示の必要性が高まっており、将来的には日本においても「取り組まざるを得ない」こととなる可能性も考えられます。