はじめに

財務長官は、2022-23年度の財政赤字が1,398億香港ドルに達し、当初予想の563億香港ドルの2倍以上になるとの見通しを示しました。これは、主に土地関連と印紙税の収入が予想を下回ったことによるものです。4年間で3回目の赤字となるものの、香港の財政準備金残高は2023年3月31日時点で推定8,173億香港ドルと引き続き堅調に推移しています。 

香港の財政準備金残高は健全な水準を保っているものの、景気後退と新型コロナウィルスのパンデミック下における市民や企業への各種救済支援策等により、 過去3年間で約3,400億香港ドル減少しました。越境が再開し、パンデミック対策の大部分が解除された今、政府は率先して経済復興の機会をとらえ将来の回復に備える必要があります。具体的には、政府は、世界トップクラスの国際金融・ビジネスセンターとしての香港の地位を強固なものとするため、香港に拠点を置く企業や投資家にとって魅力的な奨励策や政策を提供し、 持続可能な経済成長を促進する必要があります。また、政府は絶えず進化する国際的な税制環境下での香港の国際的な税制競争力を強化するため、税制の策定・運営を推進する必要があります。

香港永久居民と新規入境者に電子商品券を再度発行するという提案が政府に採用されたことは、市民と企業を短期的に支援し、地域消費を活性化するものであり、大変喜ばしいことです。

今年の予算案は、市民と企業が今後の経済の好転に備えるための様々な即効的・短期的措置を提供するものです。また、資本投資参入スキームや海外企業の香港への再定住化を誘致する仕組みなど、その他の新しい施策の採用も歓迎しています。これらの施策は中長期的に香港の競争力を高め、香港が持続的な成長を維持するために不可欠なものとなるでしょう。

 

English Version:Hong Kong Budget Summary 2023-2024 - KPMG China

Chinese Version:2023-2024年度香港政府財政預算案摘要 - 毕马威中国 (kpmg.com)