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執筆者:Tam Tran、KPMGベトナム・カンボジア マーケット責任者

2025年7月
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ベトナムが量的重視の成長から価値的重視かつ持続可能な開発モデルへの転換を進める中、日本企業は東南アジアで最も活気ある市場において変革的な機会と高まる圧力の両方に直面しています。

2030年までに年平均6.5~7.0%のGDP成長を目標に、ベトナムは「決議68」、「第8次電力計画(PDP8)」、「半導体産業発展マスタープラン」という3つの新政策を通じて質の高い外国直接投資(FDI)を優先しています。これらの新政策は、日本が強みを持つ分野である技術移転、クリーンエネルギー、サプライチェーンの現地化を通じて、経済基盤を再構築することを目的としています。

Tran Thanh Tam

Tran Thanh Tam

Director, Head of Markets Group
KPMG in Vietnam and Cambodia

Taninaka Yasuhisa

Taninaka Yasuhisa

Director, Markets Group
Head of Japanese Desk
KPMG in Vietnam

1. ベトナムの政策転換:日本の戦略的拡大のためのプラットフォーム

ベトナムの進化するモデルでは以下を促進しています。

  • 環境・社会・ガバナンス(ESG)、イノベーション、現地人材への明確な取組みを伴う技術集約型FDI
  • 風力、太陽光、水素、電力網の近代化に重点を置く1,350億ドル超のエネルギーインフラ(PDP8)
  • 設計、組立、テストへの投資を推進する国家半導体ロードマップ
  • 高付加価値の投資家向けの簡素化された規制手続き

2024年のJETROのFDI動向調査によると、ベトナムはASEAN諸国の中で日本の製造業の投資先として第1位にランクされています。

日本はすでに累計710億ドル以上の投資を行い、ベトナム第3位の投資国となっています(MPI、2025年)。

2. 日本が勝てる分野:業界別の戦略的アプローチ

分野/テーマ 日本企業の機会
グリーンエネルギー及びインフラ PDP8による長期的なPPP(官民連携)やEPC(設計・調達・建設)の機会の創出
スマートシティおよびデジタル公共サービス テクノロジー企業によるハノイ、HCMC、ダナン全域でのガブテック(Govtech)の試験的導入の拡大
半導体産業 国家イノベーションセンターや商工省と連携した設計センター、梱包工場、人材拠点の構築
自動車・精密製造 ベトナム企業との合弁でのCPTPP、EVFTA、RCEPの輸出ルートの活用
職業人材・R&D ロボット工学、AI、組込みシステム向けの専門学校やSTEMブートキャンプの共同開発

3. リスク環境:注視すべき課題

  • ESGの強化と「低影響」FDIへの厳格な審査により、形式的な投資だけでは不十分となります。
  • 都市部での労働力不足によるコスト上昇(賃金年平均成長率7.1%)により、企業は内陸部へシフトする必要性が生じます。
  • 電子インボイス、デジタル税、ローカルコンテンツに関するコンプライアンス遵守が増加されます。
  • 電力網の制約と物流のボトルネックが主要な産業展開の遅れを引き起こす可能性があります。

4. KPMGのサポート内容

弊社は、以下のサポートを含めて日本企業と密接に連携し、規制上のリスクと成長機会の両面の管理をサポートさせていただきます。

  • 決議68、PDP8、税制の変更に関する最新情報の提供
  • JVやM&A構造を含むベトナム進出・現地化ロードマップの策定
  • 日本の官民連携枠組み(例: 経済産業省(METI)-計画投資省(MPI))の下でのグリーンインフラ・スマートシティPPPの共同構築
  • ESG監査、カーボンロードマップ、サプライチェーン脱炭素化のガイダンス
  • 日越二国間協力を活用したクロスボーダー案件の支援