政府の後押しにより急激に進められる中国の自動運転社会の未来

今や世界最大の自動車市場を形成している中国。2022年の登録台数は3億台に迫っており、国産車メーカーと合弁会社を合わせて中国には100社以上の自動車メーカーが存在します。その中国が今、官民一体となって自動運転社会へ舵を切っています。2020年、インテリジェント車およびコネクテッド車のための中国産業革新同盟 (CAICV) は、「インテリジェントコネクテッド車テクノロジー・ロードマップ2.0」を発表。その内容は、2025年までにレベル2以上の自動運転車の販売台数を全車両販売台数の50%以上とし、2035年までに中国のほとんどの地域で高いレベルの自動運転車を普及させるというものです。

KPMG中国では、中国の自動運転の動向に関するレポートを発行しました。その調査によれば、中国の主要都市では2030年ごろに自動運転が大量に導入される見込みです。中国の自動運転に関連する企業では今、自動運転社会の実現に向けて、どのようなプレーヤーがどのように動き、どのような開発とテストを進めているのでしょうか。そして、自家用車以外では、どのような産業に導入され、どのような新しいソリューションが生まれようとしているのでしょうか。

3回にわたり、KPMG中国のレポートから、中国における自動運転の現在と未来について解説しています。

第1回 中国で急速に進むADAS(先進運転支援システム)の普及

これまで、自律緊急ブレーキ、車線保持アシストなどのADASは、35万人民元(約700万円)を超える高級車にのみ搭載されていましたが、ミドルエンド、ローエンドモデルにも導入が始まりました。自動運転技術の要となるADASの開発はどのような状況か、政府はどのような政策で後押しし、今後どのように進むのかについて解説します。

第2回 2030年に国内26兆円市場へ。中国で市場テストが進む無人ロボタクシーの未来

中国では大都市の一部で無人ロボタクシーの試験運用が始まっています。現在はサポートドライバーが同乗している状態ですが、完全自動運転が達成すれば巨大市場となり、自家用車の市場も奪う可能性があると考えられています。政策的に進められている無人ロボタクシーの現在について解説します。

第3回 港湾、鉱山でレベル4テスト開始。ターミナル間輸送トラックが自動運転へ

自動運転は、一般の通行人や他の車両がいない閉鎖的な環境で実用化を進める方が容易であることは言うまでもありません。中国では、港湾における貨物輸送トラックや、鉱山における発掘・運搬などの作業車両で、すでに自動運転車の商用運転が開始されています。また、ターミナル間の長距離輸送や、小口配達にも自動運転の導入が検討されています。商用自動運転の現在について解説します。

本連載は、KPMG中国が2022年6月に発行した「Levelling Up: China’s race to an autonomous future」を、KPMG中国の許可を得て日本で一部を再編集したものです。翻訳と英語原文間に齟齬がある場合は、当該英語原文が優先するものとします。

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