メキシコ:SATによる2022年度高額納税者に対するマスタープランの発表

本ニューズレターでは、2022年4月17日にメキシコ税務当局(SAT)のホームページにおいて公表された高額納税者”Grandes Contribuyentes”に対する2022年度マスタープランの概要について解説します。

本ニューズレターでは高額納税者に対する2022年度マスタープランの概要について解説します。

本ニューズレターでは、2022年4月17日にメキシコ税務当局(SAT)のホームページにおいて公表された高額納税者”Grandes Contribuyentes”に対する2022年度マスタープランの概要について解説します。実際のSATによる公表内容については、下記リンク先をご参照ください。

Plan Maestro 2022 Administración General de Grandes Contribuyentes | Servicio de Administración Tributaria | Gobierno | gob.mx (www.gob.mx)

今回公表されたマスタープランでは、2019年政権交代から現在までの高額納税者に対する税収成果を謳い上げ、さらに現在実行されている具体的なアクションプランを公表しており、今後も高額納税者に対する課税強化は継続されていくこととなります。特段目新しい内容はないものの、Invitation letter(Carta de Invitación)や税務調査を主な手段として主要セクターの納税者、特定の取引に焦点をあてている現在の当局の姿勢が読み取れるものとなっています。

目次

  1. 高額納税者からの過去の税収成果について
  2. 2022年度マスタープランについて

1.高額納税者からの過去の税収成果について

2022年度高額納税者(注)に対するマスタープランでは、高額納税者に該当するメキシコ企業の約1,100万社を対象とした納税者に対する当局側の取組みを示しています。

(注)SATが規定する高額納税者(“Grandes Contribuyentes”)とは、同省内規第28条で規定されており、その第3項において「前年度申告された益金の合計額が1,250百万MXN以上の納税者」と定められています。なお、この区分に属する納税者はメキシコシティのSAT本庁管轄となります。

マスタープランで公表された過去の税収成果としては、2018年以降の高額納税者からの税収の推移が公表され、政権交代がなされた2018年から2019年にかけて税収額は2.13%増加し、2019年から2020年にかけて10.83%、2020年から2021年にかけて9.32%増加したと発表されています。また、政権交代後の直近3年間で達成された税務調査を通した高額納税者からの徴収額は合計541,682百万MXNにのぼり、前政権6年間で達成された合計徴収額630,784百万MXNの86%にすでに相当し、「合法性、法的確実性、納税者との対話の枠組みにおける監査プロセスの改善を通じて高額納税者からの徴収を増加させる」という当局のマスタープランにおける目的からも、現政権が高額納税者に対する徴税額の引き上げに注力していることが理解できます。

2.2022年度マスタープランについて

(1)アクションプラン

マスタープランでは、高額納税者に対するアクションプランとして下記の5つを挙げています。

  • 新しいアクションプログラムの実行:税務調査は、セクター別にフォーカスしている特定の業種(訳注:自動車製造販売等が含まれる)に対する調査、企業が行った事業再編に対する調査、近年ないし過去に税務調査を受けていない企業に対する調査に焦点をあてる。
  • 現在進行中のアクション強化:納税者による自主的な納税状況の修正を促進する為の連携強化(訳注:これはInvitation letterによる納税者へのコンタクトについて述べているものと思われる)。
  • 審査請求(不服申し立て)および訴訟(税務裁判):納税者による自己修正を優先事項として確立し、審査請求や訴訟にかかる時間短縮および費用削減を目的。
  • 還付申請の監査:不適切な還付を検知し、適切な還付額を返金することを管理。
  • 清算会社:自己修正を促進することで、清算前の必要な徴税を実施。

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