移転価格税制に係る税務調査の動向(金融庁による最新の発表)
チェコニューズレターでは、チェコにおける税務、法務の最新動向を解説しています。
チェコニューズレターでは、チェコにおける税務、法務の最新動向を解説しています。
金融庁は、関連者間の移転価格に焦点を当てた税務調査についての情報を公表しました。2020年、税務当局は249件の移転価格に係る税務調査を実施し、約79億チェココルナ(CZK)(約400億円)の課税所得の増加(または税務上の損失の減少)により、14億CZK(約70億円)の法人所得税を追加で査定しました。2019年と比較して、追加評価された税額は約4倍に増加しています。
昨今、移転価格に係る税務調査は厳しさを増しており、移転価格に係る税務調査の件数が増えています。2014年以降、財務省は移転価格に対してより体系的なアプローチを採用し、特に、関連者間取引を開示するための納税申告書の付録を新たに導入し、これらの取引の内容と金額に関する情報を利用して、税務調査の対象となる企業を選別しています。それ以降、移転価格は税務調査における主要領域となっています。
公表された情報によると、2014年から2020年にかけて、税務当局は合計2,431件の税務調査を実施し、その結果、課税所得の増加または税務上の損失の減少が合計469億CZKに達し、45億CZK以上の税が追加で課されました。公表されている表によると、個々の税務調査の完了状況に応じて結果が変動していることや、追加評価された税金が継続的に増加していることが把握できます。
年 | 追加評価された税額(in millions of CZK) | 課税所得の増加(税務上の損失の減少を含む)(in millions of CZK) |
2014 | 59 | 504 |
2015 | 446 | 2,823 |
2016 | 886 | 13,286 |
2017 | 189 | 1,264 |
2018 | 1,216 | 18,038 |
2019 | 356 | 3,130 |
2020 | 1,362 | 7,861 |
4,514 | 46,906 |
Source: Ministry of finance in the Czech republic
国家予算の赤字を考慮すると、移転価格に焦点を当てた税務調査の数が今後数年間で減少することは考えづらく、むしろその逆の可能性が高いと考えられています。したがって、グループ企業にとっては、移転価格を正しく設定し、価格設定方法を正式に文書化するなど、この問題に適切な注意を払うことが引き続き重要です。例えば、事前価格協定(APA)を申請することで、関連者間の価格設定方法について税務当局と事前に合意することができます(GFD Instruction D-32)。APAは税務当局による拘束力のある評価であり、選択された移転価格設定方法について、通常、その後の3課税期間において納税者はより確実なポジションを取ることが可能となります。