税務調査の開始と終了に関する税法改正。税務調査の準備期間がなくなる?

チェコニューズレターでは、チェコにおける税務、法務の最新動向を解説しています。

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税法改正により2021年1月1日以降、税務調査は通信手段によって開始されることとなりました。税務当局は税務調査開始の正式な通知書を発行し、多くの場合はデータボックス上で通知がなされます。電子メールや電話での事前通知はなくなり、税務調査を開始するための口頭での打ち合わせも不要となりました。そのため、税務調査直前に社内の情報を修正、整理する機会が失われることとなりました。

現在の実務では、(すべての税務当局ではないものの)一部の税務当局は、データボックスに正式な通知を送る前に、納税者に電話で税務調査の開始について連絡をしています。税務調査の開始は、実際の調査活動に直結している必要があるため、税務当局は直ちに調査を開始する義務があります。

税務調査は、同様に通信手段によって終了することとなります。これにより、税務調査報告書の結果に関して、税務当局と議論する余地がなくなり、納税者は報告書の結論に同意することも、また、報告書への署名を拒否することもできなくなります(従来の手続き、すなわち、税務調査報告書に関する個別の協議は、税務調査終了通知書の送付に置き換えられています)。当税法の改正後は、税務調査が終了した時点が、追加の税金が評価された時点となる可能性があります。そのため、税務調査終了の通知には、追加支払命令も含まれることになります。

納税者はいつ税務調査が開始されるのか、終了するのかを事前に知ることができなくなります。修正申告書を提出したり、必要な証拠を入手したりするなど、最終局面で税務当局と議論する機会を失うことになるため、税法上の解釈の余地がある領域について専門家は注意を促しています。なお、税務調査の開始と終了に関する上記の変更により、税務調査のプロセス全体が簡素化されることが期待されています。

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