チェコの水素戦略
チェコニューズレターでは、チェコにおける税務、法務の最新動向を解説しています。
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EU加盟国は、2050年までにEU全体でカーボンニュートラルを達成することを義務づけています。この義務を受けて、産業貿易省は2021年7月16日に開催された国際水素会議で「チェコ水素戦略」を発表しました。
チェコの水素戦略は、EUにおけるカーボンニュートラルを達成するための重要な戦略の1つであり、温室効果ガスの排出削減と経済成長の促進を基本戦略目標としています。この戦略は、以下の4つが柱となっています。
- 低炭素水素の製造
- 低炭素水素の利用
- 水素の輸送と貯蔵
- 水素技術の普及
現在チェコで行われている水素の製造方法では膨大な量のCO₂が排出されることから、カーボンニュートラルを実現するためには、徐々に産業を変革し、技術改善していく必要があります。この戦略は、交通機関だけでなく、化学産業、エネルギー部門、エネルギー集約型産業、水素技術や輸送機器の生産、水素の輸送・流通・貯蔵にも関係しています。
チェコの水素戦略は、3つのフェーズに分かれています。第1フェーズでは、クリーンモビリティコンセプトに基づく水素利用に焦点を当て、2026年から計画されている第2フェーズでは、水素利用の工業的運用のテストを実施する予定です。第3段階のフェーズでは、2031年に、補助金を必要とせず、すでに確立されたパイプラインを使って水素を輸送することが想定されています。同様に、水素パイプラインの建設や再利用が開始され、多くの産業で水素が商業的に利用されるようになることが見込まれています。
水素技術の開発を支援するために、産業貿易省は主に「The Country for the Future」、「IPCEI」、「OP TAC」などの既存のプログラムを利用することを計画しています。また、技術庁、環境省、国家環境基金、運輸省、地域開発省が主催するその他のプログラムも、この目的のために使用されます。水素戦略の最終版は、政府の承認後に発表される予定です。