在宅勤務に関する労働法の規定
チェコニューズレターでは、チェコにおける税務、法務の最新動向を解説しています。
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COVID-19のパンデミックに伴い、在宅勤務は1年以上前から労働法上のトピックとなっていますが、労働法上の詳細な規定は現状で規定されておらず、現在政府によって検討されています。法律が制定されるまで、雇用主は社内規定や従業員との個別の労働契約によって在宅勤務を規制するしかありません。
労働法によると、「労働は賃金、給与または報酬を得て、雇用者の費用と責任で、労働時間内に、雇用者の職場またはその他の合意された場所で行われなければならない」と規定されています。つまり、従業員が自宅から働く場合、もしくは会社以外の場所で働く場合は、従業員と雇用主の間で合意がなければなりません。そして、在宅勤務を従業員に命令することはできず、同時に従業員には在宅勤務をする権利もありません。詳細な条件については、社内規定で定められることになります。
上記の前提条件とは別に、労働法には、従業員が会社で働かず、自分で労働時間を設定する状況を規定する条項が1つだけ存在しています。この特定のグループである「ホームワーカー」について、労働法は標準的な規則に対するいくつかの例外が規定されており、すなわち、彼らは時間外労働に対する賃金や休暇、休日労働に対する休暇、賃金補償、割増賃金を受け取ることはありません。また、一部の例外を除き、これらの従業員は、個人的な業務上の支障に対する賃金補償も受けられません。
ただし、従業員が自分で労働時間を決めない場合は、上記の例外は適用されません。このような従業員は、会社で働く従業員に適用される労働法のすべての条項に従うこととなります。この点、在宅勤務の場合は、労働時間の記録・管理が軽視されがちとなります。雇用者は、常に従業員の労働時間を記録し、従業員が仕事中の休憩時間を守っているかどうかを確認しなければなりません。
また、在宅勤務でよく議論されるのが、労働安全衛生の問題です。仕事が自宅で行われていたとしても、雇用主は、従業員の職場の安全性を確保する責任や、仕事中の事故に対する責任を果たさなければなりません。業務上の事故が適切に調査されない場合、雇用主は労働監督局から制裁を受けるリスクがあり、保険会社が保険金の支払を拒否することもあります。また、職場の安全を確保するためであっても、従業員の住居への立ち入り許可は、社内規定だけではなく、従業員の同意が必要であることにも留意する必要があります。