法務省、ウェブ開示の対象拡大及び監査基準改訂を受けた「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」を公布

2021年1月29日、法務省はウェブ開示の対象拡大及び監査基準改訂を受けた「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(令和3年法務省令第1号)」を公布しました。また、同日に意見募集の結果について公表しています。なお、提出意見を踏まえた省令案からの修正はありません。

2021年1月29日、法務省はウェブ開示の対象拡大及び監査基準改訂を受けた「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(令和3年法務省令第1号)」を公布しました。

1.改正の趣旨

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、事業報告に表示すべき事項の一部並びに貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項を、いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象とするため、及び、企業会計審議会が2020年11月6日、「その他の記載内容」等に関する監査基準の改訂を行ったことを受けて、「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」(以下「本改正省令」という)において所要の改正を行うものです。

2.改正の内容

【ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正】
ウェブ開示によるみなし提供制度とは、株式会社の定時株主総会の通知に際し株主に提供する事業報告及び計算書類に表示すべき事項の一部について、定時株主総会に係る招集通知を発出する時から定時株主総会の日から3か月が経過する日までの間、継続してインターネット上のウェブサイトに掲載し、当該ウェブサイトのURL等を株主に対して通知することにより、当該事項が株主に提供されたものとみなす制度です(会社法施行規則第133条第3項、会社計算規則第133条第4項等)。なお、このウェブ開示によるみなし提供制度の適用を受けるには、ウェブ開示をする旨の定款の定めが必要です。

2020年5月15日に新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた特例措置として時限的にウェブ開示の対象事項の範囲が、事業報告に表示すべき事項の一部並びに貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項に拡大されていました(2020年11月16日に失効)。本改正省令は、このウェブ開示の拡大措置を延長するものです(改正後の会社法施行規則133条の2、会社計算規則133条の2)。

【監査基準の改訂を受けた改正】
会計監査人の会計監査報告の内容として、「監査意見(会社計算規則第126条第1項第2号)があるときは、事業報告及びその附属明細書の内容と計算関係書類の内容又は会計監査人が監査の過程で得た知識との間の重要な相違等について、報告すべき事項の有無及び報告すべき事項があるときはその内容」を追加するほか、所要の整備を行うものとされています(改正後の会社計算規則第126条第1項第5号)。

3.施行期日・失効

本改正省令は、公布の日から施行されます。ただし、ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正のうち、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号)の改正に伴う部分はその施行の日(2021年3月1日)から施行予定です。

また、本改正省令により改正される会社法施行規則及び会社計算規則の規定(改正後の会社計算規則第126条第1項の規定を除く。)は、2021年9月30日限りでその効力を失うものとされています。ただし、同日までに招集の手続が開始された定時株主総会に係る事業報告及び計算書類の提供については、なおその効力を有するものとされています。

改正後の会社計算規則第126条第1項の規定は、2022年3月31日以後終了する事業年度に係る計算関係書類についての会計監査報告について適用されます(2021年3月31日以後終了事業年度からの早期適用も可能)。

執筆者

あずさ監査法人
会計プラクティス部
マネジャー 古川 加織

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

バックナンバー

サイト内の検索結果で、関連記事を一覧で表示します。「絞り込み検索」で年次別に絞り込むことができます。

お問合せ