JICPA、「監査報告書に係るQ&A」を公表

ポイント解説速報 - 2019年7月22日、日本公認会計士協会(JICPA)は、監査基準委員会研究報告第6号「監査報告書に係るQ&A」(以下「本Q&A」という)及び2019年6月17日に公表された公開草案に対して寄せられた主なコメントの概要とその対応を公表しました。

JICPAが、2019年7月22日に公表した「監査報告書に係るQ&A」の概要を解説します。

1.本Q&Aの概要

2018年7月に金融庁より公表された「監査基準の改訂に関する意見書」に対応するため、JICPAは本年2月に監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」等の新設・改正を実施しています。その上で、本Q&Aは、JICPAが今般の監査基準の改訂が従来の監査報告書に大きな変革をもたらすものと考えられることを踏まえ、新しい監査報告書の実務の定着を支援するために、より具体的な解説を提供するものとして作成・公表したものです。

2.本Q&Aの内容

(1)監査報告書全般のQ&A

2018年7月に改訂された監査基準では、監査報告書の情報価値を高め、財務諸表利用者の監査及び財務諸表への理解を深める観点や国際監査基準との整合性を確保する観点から、監査報告書の記載順序及び記載事項の見直し、監査役等の財務報告に関する責任の記載の追加、継続企業の前提に関する記載の追加等の改訂がされています。

本Q&Aでは、監査基準の改訂や関連する監査基準委員会報告書(以下「監基報」という。)に伴う監査報告書の変更点、及び国際監査基準に基づく監査報告書との差異について解説を示しているほか、企業活動のグローバル化を踏まえ、英文(日本語以外の言語)で監査報告書を作成する場合の留意点について示しています。

また、「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」より公表された報告書を受けて、除外事項付限定意見を表明する場合において、除外事項付意見に至った判断および根拠を利用者に対して分かりやすく記載するための留意点について示しています。

(2)監査上の主要な検討事項関係のQ&A

2018年7月に改訂された監査基準及び関連する監基報では、新たに「監査上の主要な検討事項」の記載が導入されています。具体的には監査人は、監査の過程で監査役等と協議した事項の中から、職業的専門家として特に重要であると判断した事項を「監査上の主要な検討事項」として決定し、その内容及び決定理由、及び監査上の対応を記載することが求められています。

本Q&Aでは、「監査上の主要な検討事項」の決定プロセスにおいて議論となる領域(内部統制の重要な不備との関係、監査上の主要な検討事項の個数及び記載量等)について、基本的な考え方、具体的な解説、及び関連する他の監査基準委員会報告書との関係等を示しています。また、監査報告書に「監査上の主要な検討事項」を記載するにあたり、財務諸表利用者の理解が深まるようにするために、企業に固有の情報を記載する場合の留意点について、具体的な例を交えた解説が示されています。

このほか、経営者及び監査役等と「監査上の主要な検討事項」に関するコミュニケーションを取るにあたって議論となる可能性が高い領域(未公表情報の取扱、監査スケジュール等)について、基本的な考え方及び議論を進めるにあたっての留意事項が示されています。

3.適用時期

本Q&Aは、2019年2月27日付で公表された監査基準委員会報告書の新設・改正等についてより具体的な解説を提供するものであるため、各監査基準委員会報告書の適用時期とあわせて適用されることが想定されます。

また、英文(日本語以外の言語)で監査報告書を作成する場合の留意点についても、監査基準委員会報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」の適用時期にあわせた適用が想定されています。

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執筆者

有限責任 あずさ監査法人
監査プラクティス部

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