ブロックチェーンで変わる決済サービス

「ブロックチェーン活用術」第13回 - ブロックチェーンの活用に期待が寄せられる少額決済やIoTとの組み合わせによる個人間取引について、解説する。

ブロックチェーンの活用に期待が寄せられる少額決済やIoTとの組み合わせによる個人間取引について、解説する。

ブロックチェーンに期待される決済手段

ブロックチェーンの活用が期待される分野の1つに、数円や数百円といった小額な電子決済を可能にする「マイクロペイメント」がある。マイクロペイメントが実現すれば、デジタルコンテンツやサービスをより小さな単位で取引することができるようになる。
例えば、現在は動画は1本、書籍では1冊といった単位での購入または月額課金が一般的であるが、マイクロペイメントを使えば、動画では視聴した時間分だけ、書籍では読んだページ分だけ、数円、数十円あるいは1円未満の料金を徴収するといったことが可能となる。
これまで、こうした小額の価格設定が難しかったのは、決済にかかる手数料のためである。そうした手数料障壁のない新たな決済手段として、ブロックチェーンの活用に期待が寄せられている。管理者を持たない非中央集権型のため、従来の決済手段のようなクレジットカード会社や金融機関といった管理者に対して支払う手数料は不要で、ブロックチェーンを運用する僅かな維持費用さえ負担すれば、決済できると考えられているからだ。

ブロックチェーンとIoTの組み合わせ

ブロックチェーンを利用したマイクロペイメントにより、消費者はサービスを利用しやすくなる。また、個人が記事や動画といったコンテンツを小額で販売するということも考えられる。さらに、あらゆるモノがネットにつながるIoTと組み合わせたM2M(マシン・ツー・マシン)の決済に活用することも期待できる。具体的には、例えばカーシェアリングで、車を走らせた分だけ利用料を自動決済するといったことが可能となる。同様にその車で利用した駐車場代やガソリン代、電気自動車の充電代も自動的に処理されるなど、シームレスな決済を繰り返すことも考えられる。

このほか、IoT機器を介して電気やインターネット回線などを個人間でシェアし、利用料を自動決済するといった個人間取引も考えられる。民泊であれば、スマートフォンでドアを解錠するスマートロックなどのIoT設備の利用をブロックチェーンで制御し、その利用時間に応じて課金するといったことも可能となる。
このように、ブロックチェーンとIoTによって、個人の所有するモノとその価値がインターネットにつながり、個人間での価値の取引が浸透していくことが期待される。

決済サービス、こう変わる

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執筆者

KPMGコンサルティング
マネジャー 本橋 由祐

日経産業新聞 2018年11月20日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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