2018年財政法によるBEPSマスターファイルおよびローカルファイルの採択(続報1)

2017年11月6日のフランス国民議会において、従来のフランス移転価格文書化義務の文書化内容をOECD/G20のBEPS行動計画13において示されたマスターファイルおよびローカルファイルに則したものとする法案が可決されました。

2017年11月6日のフランス国民議会において、従来のフランス移転価格文書化義務の文書化内容をOECD/G20のBEPS行動計画13において示されたマスターファイルおよびロ ...

その後、本法案はフランス元老院(上院に相当)において審議・可決され、さらにフランス憲法院にて法案通りに採択されました。したがって、適用開始時期は2018年1月1日以降に始まる期になります。対象となるフランス法人は今後政令にて別途定めるとしています。本改正により、2018年1月1日以降に始まる年度におけるフランスの移転価格文書で記載が求められる事項が大幅に拡大します。


追加の記載が必要となる事項の一例

  • 多国籍企業グループの収益の重要な源泉
  • 多国籍企業グループの主要な5種類の製品または役務の販売または提供、または多国籍企業グループの収益の5パーセント以上を占める製品または役務の販売または提供に係るサプライ・チェーンの概要
  • 上記製品および役務に関する地理的な市場の概要
  • 多国籍企業グループの構成会社等の間で行われる役務の提供に関する重要な取決めの一覧表、重要な無形資産の一覧表
  • 多国籍企業グループの無形資産の研究開発、所有および使用に関する包括的な戦略の概要
  • 重要な国外関連者間取引に関わる契約書の写し
  • 検証対象となる切出損益の作成方法の明示、等

本改正の適用対象となった場合、既存の移転価格文書の内容を大幅に改定することが求められます。また、調査官に移転価格文書にて提示する情報が増える為、これにより調査官がさらなる精査を行い、移転価格更正につながる可能性が高まります。

したがって、フランスに進出している日系企業は、適切な移転価格リスクの管理を行う為、移転価格ポリシーのレビュー、グループ内損益の適正化を実行し、統一的で一貫性のある移転価格文書を作成していくことが望まれます。

お問合せ