FTA(自由貿易協定)を活用するためには?

FTAを適用するためには、対象貨物が仕出国側締約国の原産品である必要があり、通常は輸入申告時に原産地証明書を税関に提示する必要があります。

FTAを適用するためには、対象貨物が仕出国側締約国の原産品である必要があり、通常は輸入申告時に原産地証明書を税関に提示する必要があります。

1.FTAとは

自由貿易協定(FTA: Free Trade Agreement)とは、主に物品の関税、サービス貿易の国内規制等の通商上の障壁を相互に撤廃することを約した、二国間又は地域間もしくは多数国間の国際協定です。日米貿易協定を含む日本が締結している発効済みFTAは、2020年7月現在で18あり、その他に複数のFTAが交渉中です。なお、FTAと重なる協定としてEPA(Economic Partnership Agreement 経済連携協定)があります。FTAで定める物品貿易の関税撤廃・削減やサービス貿易の自由化に加え、EPAではさらに、投資、知的財産権、電子商取引、自然人の移動等の広範なルール分野を対象としている点で、FTAより包括的であるといえます。

FTAとは

2.FTA適用による関税面のメリット

FTAは、域内の貿易促進の観点から、一般的にWTO加盟国間で合意した関税率の上限(MFN税率)より低い税率を適用することを規定しています。したがって、FTAを適用していない取引にFTAを適用することで、サプライチェーン全体での関税コスト削減が可能になり、これを原資とした輸入国側での価格競争力向上も期待できます。

 FTAを活用する関税面のメリット

3.FTAを適用するには

FTA税率を適用するためには、その適用を受ける貨物がFTA締約国を原産地とする原産品である必要があります。当該貨物が原産品であるかどうかは、各協定において当該物品につき定められている基準に基づいて判定されます。当局による原産性の確認調査(「検認」といいます)に備えて、判定等の根拠資料を整備しておく必要があります。なお、第三者証明制度が採用されたFTAを活用する場合は、輸出国政府又は指定発給機関に申請を行ってその原産地証明書の交付を受け、輸入申告時に原産地証明書を税関に提示する必要があります。一方で、日EU EPAのように自己申告制度が採用されたFTAを適用する場合は、輸入国税関の求めがあれば、輸入者や輸出者等が自ら作成した原産地証明書を提出することとなります。

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 神津 隆幸

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