スピンオフ税制(Spin-off)

スピンオフとは、一般に、株主に対して、会社の事業を切り出して設立した子会社の株式又は既存の子会社の株式を交付することにより、事業又は子会社を切り離す行為をいう。なお、一定の要件を満たすスピンオフは、税務上、適格組織再編成として位置付けられる(スピンオフ税制)。

スピンオフとは、一般に、株主に対して、会社の事業を切り出して設立した子会社の株式又は既存の子会社の株式を交付することにより、事業又は子会社を切り離す行為をいう。

分割型分割(事業を切り離す場合)

1. 適格要件

分割法人(1社のみ)の分割前に行う事業を新たに設立する分割承継法人において独立して行うための単独新設分割型分割で、以下の要件を満たすもの

1)非支配継続要件
分割直前に分割法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がなく、かつ、分割後に分割承継法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がないことが見込まれていること。

2)特定役員引継要件
分割前の分割法人の役員(重要な使用人を含む。)のいずれかが分割後に分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること。

3)主要資産・負債引継要件
分割法人の分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、分割後に分割承継法人において行われることとなるもの)に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること。

4)従業者引継要件
分割法人の分割直前の分割事業に係る従業者のうち、おおむね80%以上が分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。

5)事業継続要件
分割法人の分割事業が、分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。

6)対価要件
分割に伴って、分割法人の株主の持株数に応じて分割承継法人等の株式のみが交付されるものであること。

2. 課税関係

分割型分割の課税関係は、原則として以下のとおり。

 

適格分割

非適格分割

分割法人

資産及び負債が簿価により引き継がれたものとされ、譲渡損益の計上なし。
資産及び負債が時価譲渡されたものとされ、譲渡損益の計上あり。

分割承継法人

資産及び負債を簿価により受け入れる。
資産及び負債を時価により受け入れる

分割法人の株主

みなし配当の計上なし。
 
分割法人株式の譲渡損益の計上なし。
みなし配当の計上あり。
 
分割法人株式の譲渡損益の計上あり(上記1. 「6)対価要件」を満たさない場合のみ)。

※ 一定の要件を満たさない場合には、自己の有する繰越欠損金の使用並びに自己の資産及び分割法人から引き継いだ資産の含み損の実現に制限を受けることがある。

株式分配(子会社を切り離す場合)

株式分配とは、現物分配のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(完全子法人)のその発行済株式等の全部が移転するもの(現物分配により発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前においてその現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合を除く。)をいう。

1. 適格要件

完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配で、以下の要件を満たすもの

1)非支配継続要件
株式分配直前に現物分配法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がなく、かつ、株式分配後に完全子法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がないことが見込まれていること。

2)特定役員継続要件
株式分配前の完全子法人の特定役員の全てが株式分配に伴って退任をするものでないこと。

3)従業者継続要件
完全子法人の株式分配直前の従業者のうち、おおむね80%以上が完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること。

4)事業継続要件
完全子法人の株式分配前に行う主要な事業が、完全子法人において引き続き行われることが見込まれていること。

5)対価要件
株式分配により、現物分配法人の株主の持株数に応じて完全子法人の株式のみが交付されるものであること。

2. 課税関係

株式分配における課税関係は、原則として以下のとおり。

 

適格株式分配

非適格株式分配

現物分配法人

完全子法人株式の譲渡損益の計上なし。
完全子法人株式の譲渡損益の計上あり。

現物分配法人の株主

みなし配当の計上なし。

現物分配法人株式の譲渡損益の計上なし。

みなし配当の計上あり。

現物分配法人株式の譲渡損益の計上あり(上記1. 「5)対価要件」を満たさない場合のみ)。

※ 現物分配法人の株主が株式分配により完全子法人株式等の資産の交付を受けた場合には、現物分配法人株式のうち完全子法人株式に対応する部分の譲渡を行ったものとみなされる。

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