マスターファイル(Master File)
OECD移転価格ガイドライン2017年版の第5章で、移転価格文書化に関する新ルールが策定され、マスターファイル、ローカルファイル、国別報告書(CbCR)の三層構造でのアプローチが提唱された。各国当局間の透明性を高めることを目的として、共通様式で各国が導入することが求められている。
OECD移転価格ガイドラインの第5章では、移転価格税制の文書化に関する新ルールが策定され、三層構造でのアプローチが提唱された。
Article Posted date
01 August 2022
OECD移転価格ガイドラインで示されたマスターファイルの概要は以下のとおりである。当該ガイドラインの公表により、日本においても平成28年度税制改正においてマスターファイルの作成、ならびにマスターファイルの作成義務者の報告が義務付けられることになった。なお、日本におけるマスターファイルの規定は、日本版移転価格文書化(Japanese Transfer Pricing Documentation)を参照のこと。
提出義務者
年間連結グループ売上高が750百万ユーロ以上(日本の税法上は売上高が1,000億円以上)の多国籍企業の最終親会社または代理親会社に適用される。売上高基準以外に例外はなく、特に特別な産業、投資ファンド、会社形態でない事業体、非公開の事業体であっても例外は認められるべきではないとされている。
提出期限
各最終親会計年度終了の日の翌日から1年以内にe-Taxにより提出することが求められる。
記載内容
a)多国籍企業グループの組織構造
b)多国籍企業の行う事業の説明
c)多国籍企業の保有する無形資産
d)多国籍企業グループ間の金融活動
e)多国籍企業の財務状況および納税状況※1
※1 対象事業年度においてUnilateral APAを締結している場合、当該項目において、記載が求められる。