特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)(Restricted Stock)
特定譲渡制限付株式とは、譲渡制限付株式のうち一定の要件を満たすものをいう。
特定譲渡制限付株式とは、譲渡制限付株式のうち一定の要件を満たすものをいう。
Article Posted date
30 August 2022
特定譲渡制限付株式
以下のいずれかに該当する譲渡制限付株式※をいう。
- 譲渡制限付株式が役務の提供の対価として個人に生ずる債権の給付と引換えにその個人に交付されるものであること。
- 上記のほか、その譲渡制限付株式が実質的に役務の提供の対価と認められるものであること。
※ 譲渡制限付株式とは、以下の要件に該当する株式をいう。
- 譲渡についての制限がされており、かつ、譲渡制限期間が設けられていること。
- 法人が株式を無償取得することとなる事由(没収事由)が定められていること。
法人税法上の取扱い
法人が個人から役務提供を受ける場合において、その役務提供に係る費用の額につき特定譲渡制限付株式が交付されたときは、その費用の額はその役務提供につき給与等課税額が生ずることが確定した日(=譲渡制限が解除されることが確定した日)において損金の額に算入される。(個人が非居住者である場合においても損金算入が認められる。)
なお、特定譲渡制限付株式の交付が正常な取引条件で行われた場合におけるその費用の額は、以下の区分に応じ、それぞれ以下に掲げる金額とされる。
- 2.及び3.以外の場合:
- その特定譲渡制限付株式と引換えに給付された債権その他その役務の提供をする者にその特定譲渡制限付株式が交付されたことに伴って消滅した債権(以下、消滅債権)の額に相当する金額
- その特定譲渡制限付株式に係る消滅債権がない場合(3.以外の場合):
その特定譲渡制限付株式の交付された時の価額に相当する金額 - その特定譲渡制限付株式が確定数給与(所定の時期に、確定した数の株式を交付する旨の定めに基づいて支給する一定の給与)の支給として交付されたものである場合:
交付決議時価額(その定めをした日の時価)
なお、役務の提供の対価として役員に特定譲渡制限付株式が交付される場合には、以下の点にも留意する必要がある。
- 役員に対する特定譲渡制限付株式による給与(退職給与に該当するものを除く※。)は事前確定届出給与として整理されるため、事前確定届出給与の損金算入要件を満たした場合に限り、その役務提供に係る費用の額を損金の額に算入することができる。(不相当に高額な部分を除く。)
- 無償で取得される株式の数が役務の提供期間以外の事由により変動する特定譲渡制限付株式による給与は、事前確定届出給与に該当せず、損金不算入となる。
※ 法人税基本通達の改正により、役員の将来の所定の期間における役務提供の対価として譲渡制限付株式が交付される給与であって、その役務の提供を受ける法人において、その期間の報酬費用として損金経理が行われるようなものは、たとえばその特定譲渡制限付株式に係る譲渡制限期間の満了日が役員の退任日であることによりその役員において所得税法に規定する退職手当等に該当するものであっても、その特定譲渡制限付株式は、法人税法上、退職給与としての損金算入は認められない(事前確定届出給与の損金算入要件を満たさない限り損金算入できない)こととされた。この改正は、2021年6月25日以後に開始する会計期間に支給の決議(その決議が行われない場合には、その支給)をする給与について適用される。