電気通信利用役務の提供(Digital Services)

消費税法上、デジタルコンテンツの提供(電子書籍や音楽の配信等)やインターネット広告の提供等の取引は「電気通信利用役務の提供」と位置付けられ、「電気通信利用役務の提供」の内外判定を行う場所は、「役務の提供を受ける者の所在地」とされている。

消費税法上、デジタルコンテンツの提供(電子書籍や音楽の配信等)やインターネット広告の提供等の取引は「電気通信利用役務の提供」と位置付けられ、「電気通信利用役務の提供」の内外判定を行

「電気通信利用役務の提供」とは?

「電気通信利用役務の提供」は、法令上、以下のように定義されている。

『資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物の提供(その著作物の利用の許諾に係る取引を含む。)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。』

また、国税庁の「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」及び消費税法基本通達には、「電気通信利用役務の提供」に該当する取引及び該当しない取引の具体例が以下のように示されている。

1)「電気通信利用役務の提供」に該当する取引の具体例

  • インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含む。)の配信
  • 顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス
  • 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
  • インターネット等を通じた広告の配信・掲載
  • インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)
  • インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
  • インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
  • インターネットを介して行う英会話教室
  • 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング

2)「電気通信利用役務の提供」に該当しない取引の具体例

  • 電話、FAX、電報、データ伝送、インターネット回線の利用など、他者間の情報伝達を単に媒介するもの(いわゆる通信)
  • ソフトウェアの制作等
    著作物の制作を国外事業者に依頼し、その成果物の受領や制作過程の指示をインターネット等を介して行う場合があるが、その取引も著作物の制作という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものであるため、「電気通信利用役務の提供」に該当しない。
  • 国外に所在する資産の管理・運用等(ネットバンキングを含む。)
    資産の運用、資金の移動等の指示、状況、結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われたとしても、資産の管理・運用等という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものであるため、「電気通信利用役務の提供」に該当しない。ただし、クラウド上の資産運用ソフトウェアの利用料金などを別途受領している場合には、その部分は「電気通信利用役務の提供」に該当する。
  • 国外事業者に依頼する情報の収集・分析等
    情報の収集、分析等を行ってその結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われたとしても、情報の収集・分析等という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものであるため、「電気通信利用役務の提供」に該当しない。ただし、他の事業者の依頼によらずに自身が収集・分析した情報について対価を得て閲覧に供したり、インターネットを通じて利用させるものは「電気通信利用役務の提供」に該当する。
  • 国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行等
    訴訟の状況報告、それに伴う指示等について、インターネット等を介して行われたとしても、その役務の提供は、国外における訴訟遂行という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものであるため、「電気通信利用役務の提供」に該当しない。
  • 著作権の譲渡・貸付け
    著作物に係る著作権の所有者が、著作物の複製、上映、放送等を行う事業者に対して、その著作物の著作権等の譲渡・貸付けを行う場合に、その著作物の受け渡しがインターネット等を介して行われたとしても、著作権等の譲渡・貸付けという他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものであるため、「電気通信利用役務の提供」に該当しない。

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