金融口座に関する自動的情報交換(Automatic Exchange of Information for Financial Accounts)

金融口座に関する自動的情報交換とは、外国の金融機関を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、OECDが策定した共通報告基準(CRS: Common Reporting Standard)に従い、金融機関が税務当局に報告した非居住者の金融口座情報を各国の税務当局と自動的に交換する仕組みをいう。

金融口座に関する自動的情報交換とは、外国の金融機関を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、OECDが策定した共通報告基準

国際的な取組みの経緯

2010年に米国で「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA:Foreign Account Tax Compliance Act)」(米国市民による外国の金融機関の口座を利用した脱税防止策)が成立したことを契機に、OECDは、税務当局間で非居住者の金融口座情報を自動的に交換するための国際基準の策定作業を進め、2014年2月、「共通報告基準」を公表した。

この「共通報告基準」は、2014年9月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議及び同年11月のG20首脳会議により承認され、この基準に沿った自動的情報交換に参加することになっている国・地域のうち日本を含む109の国・地域が、2021年末までに自動的情報交換を開始した。

国内法の整備-非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度

上記の「共通報告基準」に沿った情報交換を実施するため、日本においては、2015年度税制改正により、「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」が創設された。これは、国内の金融機関に対し、非居住者(個人・法人等)の氏名・名称、住所・本店所在地、口座残高及び利子・配当等の年間受取総額等の報告事項を所轄税務署長に提供することを義務付ける制度である。

この制度により、2017年1月1日以後新たに金融機関に口座開設等を行う者は、金融機関へ居住地国名等を記載した届出書の提出が必要となる。また、国内の金融機関は、2018年以後、毎年4月30日までに特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告することとされている。

なお、最終的に国税庁に集約された金融口座情報は、租税条約等の情報交換規定に基づき、「共通報告基準」に従って各国税務当局間で交換が行われている。(日本は2021年12月28日時点において、101ヵ国・地域を報告対象国としている。)

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