交際費等の損金不算入制度(Entertainment Expenses)
交際費等の損金不算入制度とは、企業の冗費を節約し、内部留保の充実と体質強化を図ることを目的として設けられた制度である。
交際費等の損金不算入制度とは、企業の冗費を節約し、内部留保の充実と体質強化を図ることを目的として設けられた制度である。
損金算入限度額
2024年3月31日までに開始する各事業年度において支出する交際費等の額のうち、以下の金額を超える部分の金額は、損金の額に算入されない。
1. 中小法人※1
以下のいずれかの選択適用
- 年800万円(定額控除限度額の特例)※2
- 接待飲食費の50%(接待飲食費に係る特例)
※1 中小法人とは、期末資本金の額が1億円以下の法人をいい、資本金の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子会社等は除かれる。また、グループ通算制度を採用している場合において、通算グループ内のいずれかの法人の期末資本金の額が1億円を超える場合等には、通算グループ内のすべての法人が定額控除限度額の特例を適用できないこととされている。
※2 グループ通算制度を採用している場合には、定額控除限度額は以下の方法により計算した金額が各通算法人に配分される。
800万円 × その通算法人が支出する交際費等の額 / 各通算法人が支出する交際費等の額の合計額
2. 中小法人以外
1) 期末資本金の額※3が100億円以下の法人: 接待飲食費の50%(接待飲食費に係る特例)
2) 期末資本金の額※3が100億円超の法人: 0
※3 連結納税制度を採用している場合には、連結親法人の期末資本金で判定する。また、グループ通算制度を採用している場合において、通算グループ内のいずれかの法人の期末資本金の額が100億円を超える場合には、接待飲食費に係る特例の適用はなく、通算グループ内のすべての法人が支出する交際費等の額は全額損金不算入とされる。
交際費等の範囲
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答等のために支出するものをいう。ただし、次に掲げる費用は除かれる。
- もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
- 1人当たりの金額が5,000円以下の飲食費で、所定の事項を記載した書類を保存しているもの
- カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐい等の物品を贈与するために通常要する費用
- 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
- 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会等に通常要する費用
接待飲食費の範囲
接待飲食費とは、飲食費で、帳簿書類等に飲食費であることについて所定の事項が記載されているものをいう。
飲食費の範囲
飲食費とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用をいう。ただし、もっぱらその法人の役員、従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものは除かれる。
飲食費に該当する費用(具体例)
- 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
- 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
- 飲食等のために支払う会場費
- 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
- 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」
飲食費に該当しない費用(具体例)
- ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
- 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
- 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用