第二次調整(Secondary Adjustments)
国外関連取引における関連当事者の一方に対して移転価格課税が行われた場合において、租税条約に基づく両国の権限ある当局間の相互協議を通じて合意がなされたときは、その移転価格課税に対応する部分について、他方の関連当事者の所得を減額すること(対応的調整)により国際的二重課税の排除が図られる。
国外関連取引における関連当事者の一方に対して移転価格課税が行われた場合において、租税条約に基づく両国の権限ある当局間の相互協議を通じて合意がなされたときは、その移転価格課税 ...
Article Posted date
01 August 2022
しかしながら、他方の関連当事者から一方の関連当事者に対して対応的調整に相当する部分の送金が行われない場合には、この対応的調整に相当する資産は一方の関連者ではなく、他方の関連者にとどまり、独立企業間価格で取引が行われたときと同一の状態にはならないこととなる。これを一方の関連者から他方の関連者に対する資産の流出と考え、その資産の流出を配当(又は資産の流入の場合には出資)とみなし、源泉税(又は資本税)が課せられることがあり、このような課税を第二次調整という。第二次調整に関する規定及び取扱いは、租税条約ではなく国内法に基づくため、各国によって取扱いが異なることに注意が必要である。
例えば、日本の親会社とX国に所在する国外子会社との取引について、国外子会社に対し移転価格課税が行われた場合において、対応的調整により、親会社の課税所得が減額(還付)されたとする。この親会社における課税所得の減額(国外子会社における増額)分相当の資産(資金)が国外子会社に送金されず、かつ、X国において第二次調整の制度があるときは、X国において、国外子会社からの資産(資金)の流出を親会社に対する配当とみなし、配当に係る源泉税が課されることになる。