受取配当等の益金不算入(Dividends Received Deduction)

法人が内国法人から配当等を受けた場合には、その受取配当等の額の全部又は一部は、課税所得の計算上益金に算入しないこととされている。これは、配当支払法人における配当の支払原資に対する法人税課税と、配当受取法人における受取配当等に対する法人税課税という二重課税の排除を目的として設けられた規定である。

法人が内国法人から配当等を受けた場合には、その受取配当等の額の全部又は一部は、課税所得の計算上益金に算入しないこととされている。

受取配当等

益金不算入の規定が適用される受取配当等は、配当支払法人において法人税が課税されたものであり、配当受取法人が株主の地位に基づいて受けるものに限られる。したがって、たとえば投資法人や特定目的会社など一定の内国法人からの配当等は、配当支払法人において損金に算入されるものであるため、国内での二重課税が生じないと判断されることから、この規定の適用はない。

益金不算入額(2022年4月1日以後開始事業年度から適用)

益金不算入額は、以下の区分に応じ、それぞれ以下のように定められている。

区分

益金不算入額

1.   完全子法人株式等に係る配当等
(株式等保有割合100%※1

配当等の額 × 100%

2.   関連法人株式等に係る配当等
(株式等保有割合1/3超※2、※3かつ100%未満)

(配当等の額 - その配当等の額に係る利子の額相当額) × 100%

3.   1、2、4のいずれにも該当しない株式等に係る配当等
(株式等保有割合5%超かつ1/3以下)

配当等の額 × 50%

4.   非支配目的株式等に係る配当等
(株式等保有割合5%以下※4、※5
配当等の額 × 20%

 

※1    100%保有の判定は、配当等の額の計算期間(計算期間が1年を超える場合には、基準日等までの1年間)を通じて100%保有しているか否かで行う。

※2       1/3超の判定は、配当等を受け取る内国法人との間に完全支配関係がある他の法人を含めて行う。

※3       1/3超保有の判定は、配当等の額の計算期間(計算期間が6ヵ月を超える場合には、基準日等までの6ヵ月間)を通じて1/3超保有しているか否かで行う。

※4    5%以下の判定は、配当等を受け取る内国法人との間に完全支配関係がある他の法人を含めて行う。

※5       5%以下保有の判定は、配当等の基準日において5%以下保有しているか否かで行う。

なお、関連法人株式等に係る配当等に係る益金不算入額を算定する際の「その配当等の額に係る利子の額相当額」は、概算控除(関連法人株式等に係る配当等の額×4%(上限:その事業年度における支払利子等の合計額×10%相当額))により計算することとされている。

《参考》

2022年3月31日以前開始事業年度における益金不算入額は、以下の区分に応じ、それぞれ以下のとおり定められている。

区分 益金不算入額
1.   完全子法人株式等に係る配当等
(株式等保有割合100%※1
配当等の額 × 100%
2.   関連法人株式等に係る配当等
(株式等保有割合1/3超※2かつ100%未満)

(配当等の額 - 負債利子の額のうちその株式等に係る部分の金額) × 100%

3.   1、2、4のいずれにも該当しない株式等に係る配当等
(株式等保有割合5%超かつ1/3以下)
配当等の額 × 50%
4.   非支配目的株式等に係る配当等
(株式等保有割合5%以下※3
配当等の額 × 20%

 

※1    100%保有の判定は、配当等の額の計算期間(計算期間が1年を超える場合には、基準日までの1年間)を通じて100%保有しているか否かで行う。

※2       1/3超保有の判定は、配当等の額の計算期間(計算期間が6ヵ月を超える場合には、基準日までの6ヵ月間)を通じて1/3超保有しているか否かで行う。

※3    5%以下保有の判定は、配当等の基準日において5%以下保有しているか否かで行う。

なお、関連法人株式等に係る配当等に係る益金不算入額を算定する際の「負債利子の額のうちその株式等に係る部分の金額」は、原則法である総資産按分法と簡便法のいずれかの方法により計算することとされている。

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