2017年度税制改正前 - 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)(Anti-Tax Haven (CFC) Rules)

内国法人等が軽課税国に所在する外国関係会社を通じて国際取引を行う場合、外国関係会社を介することにより税負担を不当に軽減・回避し、結果として日本での課税を免れる事態が生じることがある。

内国法人等が軽課税国に所在する外国関係会社を通じて国際取引を行う場合、外国関係会社を介することにより税負担を不当に軽減・回避し、結果として日本での課税を免れる事態が生じるこ ...

なお、2015年10月に公表されたOECDの税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトの最終報告書を踏まえ、2017年度税制改正において外国子会社合算税制の抜本的な見直しが行われた。改正後の外国子会社合算税制は、外国関係会社の2018年4月1日以後開始事業年度から適用されている。

(改正後の外国子会社合算税制の概要については、「2017年度税制改正後 - 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)(Anti-Tax Haven (CFC) Rules)」参照)

概要

特定外国子会社等の発行済株式等の10%以上を保有している内国法人等は、1.会社単位の合算課税又は2.資産性所得の合算課税の適用がある。


特定外国子会社等とは、内国法人等により発行済株式総数の50%超を直接及び間接に保有されている外国法人(外国関係会社)のうち、税が存在しない国又は地域に本店等を有する法人もしくは所得に対する租税負担割合が20%未満である法人をいう。
 

  1. 会社単位の合算課税

    特定外国子会社等が適用除外基準のいずれかを満たさない場合には、その特定外国子会社等の所得(適用対象金額)のうち、その内国法人等の保有する株式等に対応する部分の金額が合算課税の対象とされる。

    適用除外基準とは、特定外国子会社等が所在地国において独立企業としての実体を備え、かつ、それぞれの業種に応じ、その地において事業活動を行うことに十分な経済合理性があると認められるか否かを判断する基準(事業基準、実体基準、管理支配基準、非関連者基準又は所在地国基準)をいう。

  2. 資産性所得の合算課税

    特定外国子会社等が適用除外基準を全て満たす場合には、その特定外国子会社等の資産性所得から成る部分適用対象金額のうち、内国法人等の保有する株式等に対応する部分の金額が合算課税の対象とされる。ただし、部分適用対象金額が少額であるなど一定の要件を満たすときは、資産性所得の合算課税は免除される。

<部分適用対象金額>

以下の1.~7.の金額から直接費用(1.~3.については直接費用及び負債の利子)を控除した残額の合計額をいう。

  1. 配当(持分の10%以上を保有する法人から受ける配当等を除く。)
  2. 債券の利子
  3. 債券の償還差益
  4. 株式の市場における譲渡等から生じる譲渡益(持分の10%以上を保有する法人の株式等に係るものを除く。)
  5. 債券の市場における譲渡等から生じる譲渡益
  6. 特許権等の使用料(自己開発した特許権等及び対価を支払って取得し、又は使用許諾を得たうえで一定の事業の用に供している特許権等に係るものを除く。)
  7. 船舶又は航空機の貸付けの対価

なお、1.~5.については、特定外国子会社等が行う事業の性質上、重要で欠くことのできない業務から生じたものは除かれる。

 

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