事前確認制度(Advance Pricing Agreement)
事前確認とは、企業が国外関連者と取引を行う際、その取引に係る移転価格に関して、その企業が採用する独立企業間価格及びその算定方法の妥当性を、一定期間(通常3~5年)、税務当局から事前に確認を受けるものである。
事前確認とは、企業が国外関連者と取引を行う際、その取引に係る移転価格に関して、その企業が採用する独立企業間価格及びその算定方法の妥当性を、一定期間(通常3~5年)、税務当局 ...
企業にとって、移転価格調査が、税務当局主導の受動的な移転価格の検証であるのに対して、事前確認は、企業サイドから能動的に移転価格及びその設定方針等の妥当性を立証し、当局に確認を求めることができるため、移転価格調査の結果がもたらす更正リスク等の企業経営上の不確実性を排除し、予見可能性を確保することが可能となる。その結果、納税者にとってコストの高い移転価格課税の発生を未然に防止することができる。
事前確認には3類型あり、1カ国の税務当局からのみ確認を受ける「国内APA(Unilateral APA)」、2カ国の税務当局から確認を受ける「二国間APA(Bilateral APA)」、3カ国以上の税務当局から確認を受ける「多国間APA(Multilateral APA)」がある。2カ国以上の国を対象とした事前確認においては、政府間の合意を得るための相互協議の申立てを行う必要がある。
相互協議事案発生件数のうち事前確認発生件数、処理件数
事務年度 (自7月1日 至翌年6月30日) |
発生件数 | 処理件数 |
---|---|---|
2016年 | 131件 | 143件 |
2017年 | 166件 | 122件 |
2018年 | 163件 | 146件 |
2019年 | 148件 | 145件 |
2020年 | 146件 | 122件 |
(出典:国税庁ホームページ)
日本企業が北米や欧州のみならず世界各国に進出するに伴い、Bilateral APA、Multilateral APAにおける相手国は従来の欧米をはじめとするOECD加盟国から中国、香港、インドなどのOECD非加盟国に拡大するなど多様化が進んでいる。
日本当局が二国間協議・交渉を行っている相手国(2020年6月末現在)
OECD加盟/非加盟 | 米州地域 | アジア・オセアニア | ヨーロッパ |
---|---|---|---|
OECD加盟国 | カナダ メキシコ アメリカ |
オーストラリア 韓国 ニュージーランド |
ベルギー チェコ デンマーク フォンランド フランス ドイツ ハンガリー アイルランド イタリア オランダ ポルトガル スウェーデン スイス イギリス |
OECD非加盟国 | 中国 香港 インド インドネシア マレーシア シンガポール 台湾 タイ ベトナム |
※上掲のすべての相手国について事前確認に係る相互協議の申立てがなされている。
(出典:国税庁ホームページ)
相互協議事案発生件数のうち事前確認発生件数、処理件数(OECD非加盟国)
事務年度 (自7月1日 至翌年6月30日) |
発生件数 | 処理件数 |
---|---|---|
2016年 | 28件 | 20件 |
2017年 | 44件 | 23件 |
2018年 | 45件 | 23件 |
2019年 | 43件 | 30件 |
2020年 | 34件 | 22件 |
(出典:国税庁ホームページ)